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第3話
探知魔法と強化魔法を自分にかけ、魔王がいるだろう最上階まで駆け上がる。
斬って。殴って。蹴って。斬って。
自分の体に傷がつくが、軽傷の物はすでに治っている。深手も何度か負ったが、そろそろ治りそうだ。
目の前には、大きな黒い扉。装飾が豪華だが、黒く塗られた扉にまた違う黒で装飾が塗装されたのか華美と言うよりかは、物々しい。
「……行くか。」
生きるか死ぬか。
「俺は……生きる。」
勢いよくドアノブに手をかけ、押し開ける。
「魔王……!!」
開けた瞬間、目に飛び込んで来たのは光だった。
故郷の王城かと見間違えそうになる内装、光。光の元は、外の光だった。
青空が窓の中に広がっている。
窓の近くで、ゆっくりと動く黒い影。
この世のものとは思えない、整いすぎた相貌に黒い短髪。赤い目。まさに、噂通りの魔王だった。
「……勇者よ、何用か。」
「何用……?お前を倒しに来た!!俺はアレキサンドライト!!お前を滅する者だ!!」
距離がある。だが、魔王の声はよく響く内部のせいかはっきりと聞こえる。低く通る、女性が好みそうな声だ。
瞬きをした。
目の前に魔王がいた。
「っ!!らぁ!!」
下げていた腕を振り上げる様に、剣を下から上へと振り上げる。躱された。
「いくぞ!!」
はぁ。と溜息が聞こえた。魔王から。
「勇者は何故……こうも血気盛んなのか。」
「うるっせぇ!!」
今度は上から下へ。左手に魔力を込め、光属性に変換して投げつける。魔王はそれを受け止める様に手の平をこちらに向ける。
爆発音と共に、防がれてしまった。
再度剣で切りつけながら、魔力をまとわせた右拳。
俺の右腕が止まった。魔王に掴まれ、そのまま魔王の動きが止まった。
「ぐっ……離せ!!」
「お前……名は何だったか?」
「は?アレキサンドライトだ!!」
イラつきながら再び名乗ると、魔王の顔が近づきねっとりとした何かが頬を撫でた。
「ひえっ!?何する!!離せ!!」
魔力を纏った左手で魔王を殴りつけるが、びくともしない。離れようとしてもがくが、逆に俺の左手を掴んでいる魔王の手に力が入る。
【眠れ】
俺の膝から力が抜け、意識が飛んだ。
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