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第5話 後日談的な

目を覚ますと、まったく知らない部屋にいた。 恐る恐る人の気配がする方へ目を向ける。 上裸と思われる(下は布団に隠れていて目視不可)長谷さんが寝息を立てていた。 ゆ、夢じゃなかったー!!! と、頭を抱える。 ど、どうしよう… 夢だったら「なんだ夢か~」で終わりだったのに。 昨夜の長谷さんは、自ら俺を抱いているように見えた。 でも、そこに至るまでの経緯を覚えていない。 気付いたら始まってたんだから… もしかしたら俺が、長谷さんを誘ったのだろうか? 記念に1回抱いてください、とかなんかそういうことを言ったのだろうか…? っていうか…、処女であることを誇りに思っていたわけではないけれど(むしろ恥じていたし)、長谷さんみたいな最上の男と初めて♡を経験するなら、1から100まですべて記憶していたかった… こんなこと、俺にとっては一生にあるかないかなのに…、それどころか、普通の男性にも抱いてもらえる機会なんて今後ないかもしれないのにぃぃ… と、心の中で悔やんでいると、長谷さんがもぞもぞと動いた。 そういえば、長谷さんにはどんな顔をして会えばいいんだろう… これは、俺が襲ったことになっているのか、合意かで話が変わってくる。 酷い人ではないことは分かっているけれど、ゲイだったというだけで冷遇される可能性だってある。 と、とにかく服を着よう! そう思ってベッドから抜け出そうとしたら、長谷さんの長い腕に封じられた。 力が強くて、俺なんかの抵抗では太刀打ちできない。 「やり逃げする気?」 ぼそりと呟かれ、俺は「や、やり逃げ!?」と声を裏返らせた。 「有は酷いね」と、寝起きの少しもったりした口調で責められる。 長谷さんは意外と朝は弱いタイプか…? 「や、やり逃げなんてそんな!! あ、あの、昨日は本当にすみませんでした。 最初のほうはあまり覚えてないんですけど、俺、なんかしちゃいましたか?」 と恐る恐る訊く。 「え~?あんなに熱烈にアタックしてくれたのに忘れちゃったの?(嘘)」 と、長谷さんに言われ、俺はどんどん血の気が引いて行った。 やっぱり俺から誘ったんだ…、最悪だ… この気持ちもバレているのだろう。 「気持ち悪くてすみません。 俺みたいな陰キャが…、しかも、男が、マジですみません!! 長谷さんへの気持ちも、昨日の事も全部忘れるので!どうか、会社にだけはっ」 今の会社をクビになったら、俺は果たしてどこかに転職できるだろうか? 否、無理だ。 契約社員だったとしても、今の会社より好待遇な企業には就職できないだろう… しおしおと彼に土下座の体勢を取っていると、溜息を吐かれた。 ベッドの上じゃダメか! ハッとして、床に降りようとすると抱き込まれた。 「あんなにベッドの中で、可愛い愛してるって言ったのにそれも忘れちゃったの?」 と、口を尖らせる長谷さん。 「あ、あい…? 誰が、誰をでしょうか?」 恐る恐る訊く。 だって、それってまるで長谷さんが俺の事… 「俺が、有のことを愛してるって話」 「へぁ…」 いや、そうかもなとはちょっと思ったけれど、改めて言葉にされると脳がキャパオーバーになる。 「有は?有も俺の事好きなんじゃないの?」 「え、そ、それはそうですけど、 でも、俺って陰キャだし、能力も低いし、見た目だって全然だめで、 イケメン高身長高スペックの長谷さんには釣り合わないっていうか…」 「嬉しい。有は俺をイケメンだって、かっこいいって思ってるってことだよね?」 と、ホクホクしている長谷さん。 「そうですけど、でもそれは皆もそう思ってるかと…」 「有は気づいてないと思うけれど、肌は発光してるみたいに白くて滑らかだし、睫毛も長くて綺麗にカーブしてて、まっすぐな黒髪も濡れ羽のように艶やかで…、指なんてガラス細工みたいに細くて綺麗だし、口は小さくて思わずちんぽをぶち込みたくなるくらい可愛いよ」 最後になんか物騒な言葉が聞こえたが、とんでもないくらいに容姿を褒められて、照れるどころではない。 し、そんな評価を貰うほどの容姿ではない。 「ぜ、全然違いますけど!!」 と、反論したが 「ううん。俺から見たら最高に可愛い。 パーフェクトすぎる。 それに、性格も慎ましやかであり、情熱的だよね」 そう言って、彼は俺の鼻の先にキスを落とす。 「情熱…、的?」 わりと自他ともに静かなタイプで、感情の起伏は激しくない方だけれど… 「インスタ。 いつも俺の投稿を余すことなく見て、スクショまで取ってくれてるじゃん」 その一言に、喉が「ヒュッ…」と音を立てた。 え、え…、なんで知ってんの?なんで知ってんの、なんで知ってんの、なんで知ってんの、なんで知ってんの、なんで知ってんの、なんで知ってんのそれ! と、内なる田中(けい)も暴れ狂う。 俺が呆然としていたからか、「あ、ストーリーって足跡つくんだよ。知らなかった?」と長谷さんが言う。 バ、バレてた!!!? 嘘だ…、そんな… え、あれ、でも…、「なんでスクショのこと…」知ってるんだろう? 「あ、えっと…、昨日、酔った有が見せてくれたよ(大嘘)」 サァ… 血の気が引く音がする… 「ほ、本当に申し訳ございません」 なんとかそう絞り出した。 「ううん。有がどれだけ俺を好きかが分かって、嬉しかったよ。 今度からはフォローしてくれたら嬉しいけどね」 長谷さんが俺のおでこにキスを落とす。 いつもの俺なら、顔を真っ赤にして恥ずかしがっていたはずだけれど、ネトストやスクショがバレてしまったことがショックでそれどころではない。

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