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第6話 ※少し(当社比)
「で、いつから一緒に住む?」
「へ?」
何か色々とショックでぼんやりしているところに話しかけられ、首を傾げる。
いや、よく考えてみても意味が分からない。
「住むって…?」
俺がそう問うと、長谷さんは眉根を寄せた。
「嫌なの?」
「え、嫌っていうか…、その、何でですか?」
なぜ、俺と長谷さんが一緒に住むのか本当に分からない。
「俺、恋人とは一緒に住みたい派なんだよね。
まあ、同棲したことないけど、有とは一緒に住みたい」
長谷さんが微笑む。
「えっと…、恋人とは?」
俺がそう訊くと、また長谷さんの顔色が曇る。
「同性と付き合ったことないけど、好き同士なら付き合うよね?
それとも、有は俺のこと好きじゃないの?
なんで?あんなに愛し合ったのに?」
「あ、あい…、う」
昨夜の情事を思い出して、顔を真っ赤にしていると、長谷さんが「可愛い」と熱くなった頬を撫でる。
32歳の男(しかもブサイク)が可愛いわけがない。
そう自分に言い聞かせようとするけれど、こんな状況で照れないわけがない。
「ね、付き合うよね?」
「え、えっと…」
そりゃ嬉しい。
人生初カレ。
しかも、長谷さんとかいう超優良物件。
数年前の俺なら、喜んで飛びついただろう。
でも、今の俺には、なぜ長谷さんが俺ごときと付き合おうなんて思うのかが分からない。
何か…、何か裏があるんじゃ?
でも、何にも思い浮かばない。
っていうか、長谷さんってそのうち本社に戻る予定だよな…?
つまり、つなぎの恋人的なヤツが欲しいのではないだろうか?
男なら、女性よりも楽に切り捨てられそうだし!
そうか、つまりそういうことか、と納得する。
それなら気が楽だけれど、もし、長谷さんと付き合ったら…、俺は後戻りできないくらいのめり込んでしまうのではないだろうか…?
え、怖いそれ…
「ねえ、ダメなの?
俺と付き合いたくない理由があるならちゃんと言って」
ジーっと見据えられて、俺は「い、いや…」と答えるしかない。
「付き合うよね?俺の事好きだよね?」
そう詰められて、俺は「あ、は、はい…」と答えるしかなかった。
長谷さんは「やった」と言って俺に抱き着く。
固い胸板が、乳首に擦れて俺は肩を揺らした。
なんか…、ジンジンしてるんだけど…
それに気づいたのか分からないけれど、長谷さんがキスを落とす。
ちゅ、とリップ音をたてながら唇が離れる。
「両想い記念ってことで、抱かせて」
長谷さんがにっこりとして言う。
昨日の疲れが取れてない俺は、「いや、ちょっとそれは…」と言ったけれど、次の瞬間には今度は深く口づけられ、胸を揉まれる。
いや、揉むほどの脂肪はないはずなんだけれど…
乳首を引っ掛かれ、弾かれて、俺はくぐもった声を上げる。
「昨日、こんな風に可愛がってあげたことも覚えてないでしょ?」
そう訊かれ、俺は首を縦に振った。
こんな風に胸を弄られているシーンは記憶にない。
が、ジンジンと疼くそこは、確実に昨日の愛撫を覚えているらしい。
乳首をきつく吸われて、俺は喘ぎながら背中を反らせた。
長谷さんは嬉しそうにそこを弄っている。
男の…、しかもこんなガリガリの胸を弄って何が楽しいんだろう。
「あは、勃ってきたね」
そう言って陰茎を握りこまれる。
どうやら、俺も長谷さんも全裸だったようで、布団が捲れて互いの裸体があらわになった。
ガリガリの体に、ピンク色の控えめなソレが立ち上がっている一方で、長谷さんは筋肉質でがっちりした体に赤黒い凶器のようなソレがそそり立っていた。
「あっ…」
体格やちんぽの差に急に恥ずかしくなった俺は、慌てて手で体を隠そうとするも、それをいいことに逆に足を開かれてしまった。
「俺がここをどうやって解したかも、よく覚えておいてね」
そう言うと、ローションを塗り付けた指が胎内に侵入してきた。
「んぁあっ」
昨日の事を覚えているのか、疼くお腹が長谷さんの指を気持ちのいいものだと認識している。
じゅぶじゅぶと音を立てながら翻弄する指に、俺は善がった。
「ああっ、ひぃ…」
気持ちいい。
自分の指では全くそうは思わないのに…
「はは。昨日、散々エッチしたから、すぐ奥まで届くよ?
ねえ、挿れていい?」
太ももに熱を擦りつけられ、俺は「あっ」と喘いでしまう。
俺の体は、ちゃんとソレを覚えているらしい。
「あっ、欲しい。ください。奥っ、ああっ!?」
強請るや否や、早急に長谷さんの屹立が俺の体を穿つ。
揺すられながら、「きもちい、きもちいい」と譫言 の様に繰り返した。
「恋人セックスはちゃんと覚えててね。
ねえ、今、誰とセックスしてる?分かる?」
そう訊かれて俺は「はしぇしゃ…、と、恋人セ…クス、してます」と答える。
「ふふ、恥ずかしいこと言うときゅって締まるんだね?エッチ」
そう罵倒されて、俺の中はきゅんきゅんと長谷さんの熱を締め付ける。
「くっ…、やばい。もう出そう。
ごめん、奥に出すね」
俺の中をガツガツと押し上げた後、長谷さんは奥で爆ぜた。
じんわりと腹の奥に熱を感じて、俺もブルブルと射精した。
「はぁ…、恋人セックス気持ちいい」と、うっとりと俺を見下ろして長谷さんが言う。
けど、この恋人関係は虚像だ。
俺が何も答えずにいると、長谷さんが俺の口に指を入れて弄ぶ。
「(いつか有が俺にぐずぐずに甘えてくればいいのに)」
そんな長谷さんの思惑も知らず、俺はまたゆっくりと微睡んでいく。
目が覚めて起き上がるころには土曜のお昼を過ぎており、俺は平謝りをして帰宅した。
それから、あれよあれよと彼の家への引っ越しが決まり、彼との虚像の同棲生活が始まった。
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