3 / 8
第3話
俺は、ラグビーの現役を引退したことに後悔はなかった。けど、知らん間に心の中に隙間が空いてしもてて、偶然出会うた唯斗にその隙間を埋めさせようとしてたんやろか。
約束したクリスマス。俺は唯斗に会いに東京に行った。
ほんまにどこ行っても、街はキラキラしとった。隣にいる唯斗もずっとニコニコしてくれてた。
クリスマスの夜に男二人で、どこに行こって話しになった。で、結局直ぐに入れた町中華の店で餃子とビールで乾杯や。メリークリスマスというより、再会に乾杯した。で、カラオケ行って朝まで遊んだ。それから朝一の新幹線で大阪に帰って仕事した。十代みたいなことやってもうたけど、全然疲れてへんかった。楽しかったわ。
唯斗は、次は俺の家に泊まって、って言うてくれた。俺は嬉しなって、年明けまた直ぐに唯斗に会いに行った。
俺は、新幹線や夜行バスで月に一、二回は東京に行っとった。唯斗と遊べるんやったら距離は関係なかった。
今考えたら、俺が唯斗に執着しとったんやな。でもその唯斗との関係はどう言うたらええんやろ…。大雑把に言うと友達なんやろうけど、でもそれも少しちゃうねんな。唯斗は二つ年下やねんけど、後輩…っていう感じでもないしな。もちろん恋人とかでもないし。
たまにめちゃ可愛い仕草とか表情見せよる。そんなん見たら無条件にいじくり回したなんねんな、っていうかやってる。
こんなん初めてや。こういうヤツのこと、何て言うたらええんや?……まぁ、唯斗は唯斗か。
だから…
アイツが初めて京都に来て五山の送り火を一緒に見て、そしたら、まさかのマジモードで俺のことが好きや、って言われた時は正直焦ってもうた。
その時、唯斗はゲイやったんやって今更ながら思い出した。
唯斗のことはめっちゃ好きや。けど、マジの好きっていうのは、恋とか愛とか、肉体関係も含まれるってことやろ?俺の好きは、そんなんとちゃうねんな…。
唯斗の好きを受け入れたら、俺はどうしたらええんや、抱きしめてキスするんか?ほんで裸になって…あかんあかん、無理やわ。
で、俺は…訳のわからんこと言うてもうた。
唯斗のチンコ見たいとか触りたいとか思われへんから、ごめんな……って。
なんやねんそれ。
誰も、見てくれ触ってくれ、って言うてへんやろ。なんで、ごめんな、って謝っとんねん。アホか俺は。
はい、アホです。救いようのないアホです。
あの時、『大』の送り火を見てた河川敷は真っ暗やって、唯斗がどんな顔してたんかはわからんかったけど、でも、唯斗は優しい声で、俺を困らすつもりはないから、って言うて、そのまま河川敷の土手を走って行きよった。俺は、追いかけもせんと唯斗の背中をただ見てた。
周りにおる見物客の送り火への歓声の中、俺一人だけ燃え盛る『大』の炎に背中向けて、唯斗が走り去ったあとの土手を見てた。
それから、半年が経って…。
唯斗からは、当然連絡もない。俺もどうしたらええのか、わからん、わからん、って頭抱える振りしながら、今も何もしてへん。
唯斗のこと気にはしてんねんで、でもな…。
で…ついに、この情けない俺に、ええ加減にせぇよって、どつかれるような、覚悟を決めなあかんことが起きた。
ともだちにシェアしよう!

