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第4話
「ねぇねぇ、大崎君〜」
朝一から同期の並木が声かけてきた。語尾を伸ばしてる時は、頼みごとがある時や。
「何や?」
「あのさぁ、悪いねんけど、また写真探してくれへん?」
並木は、書類っぽいのを持って俺の机の傍に来た。
俺と並木は広報部に所属してる。広報部の中でも色んな仕事があるけど、今は新年度に向けての社内報の作成をしてる。
来年は、ラグビー創部五十周年のメモリアルイヤーやゆうて、社内報にラグビー部の特集記事を載せることになってて、せやから、俺の出番やでって、並木には何かとコキ使われてる始末や。
同期やのに、女はしっかりしとるわ。
「この間、写真選んだやろ?まだ、載せるんか?」
並木は、ラグビー部の為やで、ってニヤッとして俺の肩を叩いた。
選手がプレーしてる写真だけやなくて、スタンドで応援してる観客の写真も載せた方がええやろって、なったらしい。
「専務がな、何度か家族で試合を応援しに来てくれてはったみたいでな、専務が写ってる写真ないか探してほしいねん」
「ええけど…いつの試合か、わからんのか?」
「毎回、スタンドの写真撮ってへんし、絶対に専務が写ってるってわけちゃうねんけど…な」
「はぁ?何やねんそれ」
「だからな、専務もラグビー部を応援してるでってアピールしたら、来年のラグビー部の予算もちょっとは通り易なるんちゃうかって課長に言われたんや…課長も、元ラグビー部やし。後方支援やから、頑張って」
で、俺は、後方支援って言葉に弱いから、写ってるかどうかもわからん専務を探すことになった。
パソコンの写真ファイルの日付を見ながら、どれから探そか考えとったら、俺の最後の試合の日のファイルがあった。消化試合やし、絶対に専務は来てへんやろなと思いながらも、そのファイルを開けた。
俺がおった。ボール持って走ってるやん。あれからもうすぐ一年や。俺、頑張っててんな…って、しんみりしてる場合ちゃうぞ。さっさと探さんと、並木が文句言うて来よるわ。
とりあえず、その、俺が最後の日の写真からスタンドに専務がおらんか念のため探してみた。
えっ…?
ちょっと待ってぇや…何でや…?
「えぇ⁈…ちょっと、これ、由夏ちゃうの?」
いつの間にか、並木が俺の後ろに立って、パソコンの画面を覗き見とった。
「大崎君…由夏とまたひっついてたん?」
……はぁ⁈
よう見たら画面に、確かに由夏がおるわ…。
いや、ちゃうねん。
俺が、びっくりしたんは、唯斗の方や。
由夏の三列くらい斜め後ろに、唯斗が写ってる。
両手を胸の辺りでグーして、頑張れって応援ポーズのちっこい顔した唯斗が写ってるやん…。
あんだけ、来てやって誘ったのに、用事があるから行けないよ、って言いやがって………来とるやん!!
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