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第11話 紗奈と香菜の報告・2

「それで、壁画の次はどうしたの?」 皆に押され気味の颯太が、ようやく聞いた。 「えっとね。病院に挟まれた小さなビルの3階と4階がおうちで、 エレベーターを出たら、そこが桃香ちゃんちだったの。 で、カッサータっていう、すごく美味しいお菓子を お母さんが作ってくれて、ご馳走になった」 「へえ〜。聞いたことないわね、なんだろう?」と母。 「ふ〜ん、それからどうしたの?」と颯太。 「2号館の屋上ガーデンの花がきれいだから、 見てきたら?ってお母さんが言ってくれて、みんなで行ったの」 「そうなの? 病院の屋上にガーデンがあるの? 聞いたことない」と楓。 ふふん、と父が笑った。 「困るねえ〜。そんな良い話を聞いたら、 楓が“うちも屋上にガーデン作れ”って言いそうだよ、な!」 「良いよ。無理しなくて」と楓。 「それでどうしたの?」と颯太。 「屋上の下の11階がスタッフの休憩所になってて、 ものすごく大きかったの。 壁がずらーっと冷蔵庫になってて、全部空っぽなの。 なんでかなあ?と思って聞いたら、 福利厚生でお弁当が400円で、すごく美味しいんだって。 だからみんな二食とか三食買うから、 帰るまでそこに入れておくんだって」 「へえ〜、そうなんだ」と楓。 「それにカフェもあって、そこのおばさんが 桃香ちゃんを見て声を掛けたんだよね。 で、“お友達も一緒ならサービスするよ”って言ってくれて、 ものすごく美味しいソフトクリームに イチゴをいっぱい乗せてくれたの。 それを屋上のガーデンの椅子で食べてきた」 「へえ、そうなんだ。美味しかった?」と楓。 「うん! あんなに美味しいソフトクリームは生まれて初めて。 ね? 香菜もそう言ってたよね?」 「うん、めちゃめちゃ美味しくて、 イチゴのいい匂いがプ〜んとして最高だった」と香菜。 「へえ〜……」 みんな口を半開きにしていた。 「あ、そうだ。そのおばさんね、 菜の花フーズの研究員なんだって。 で、今ソフトクリームを開発中だって言ってたよ」 「はあ〜……」 みんな、ヘラヘラ笑った。 ここで俺がフォローした。 「もうさ、規模が違うから比べる必要はないよ。 だってあっちは企業だもん。 すそ野が広いから、なんでもできるんだよ。 でも、うちは病院だけだからね」 父も笑っていたが、 「陽一、あんまりフォローになってないぞ。楓の顔を見ろよ」 みんなが一斉に楓を見た。 口がとんがっていた。 「楓、うらやましいか?」 「うん、そっちに行きたい」 みんなでくすくす笑った。 「まったく、お前たちは本当に誘惑に弱いなあ〜。 だから菜の花病院が繁盛するんだよ」 「お父さんだって、それフォローになってないよ」 どっとみんなで笑った。

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