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第12話 北原院長のお願い
颯太は毎日大学に行っている。
今は3年生だ。
今週末には実家に引っ越さないといけないので、
父に頼んで少し休ませてもらうことにした。
そして少しずつ荷物をまとめて運んでいる。
そんなに多いとは思わなかったが、
入居して5年も経つと結構増えている。
減らそう。新居はすっきり住みたい。
そこへミツワの会社からメールが届いた。
秘書室の上川さんからだ。
菜の花病院の北原院長から、
会社宛てにメールが届いているとのこと。
へえ~、なんだろう?
電話した。
「あ、上川さん? すみませんけど、
北原院長のメールを読み上げてもらえますか?」
「はい。要は“会長のSPはどこに頼まれていますか?”
という質問なんですよ」
「そうなんだ。
じゃあ、浅田さんのところでも頼むことにしたのかな?
分かりました。直接北原院長に電話します」
そして電話をした。
「立花ですが、先日は紗奈たちが大変お世話になりまして、
本当にありがとうございました。
もう大喜びでした。
早速その話を家族に聞かせてくれて、
皆も大興奮していました」
北原『ああ、そうなんですか。それは良かったです。
こちらこそ桃香が大喜びでした、ありがとうございました』
「あ、いえいえ、それで——
メールをくださったと会社から連絡があって、
警備についてですね?」
『そうなんですよ。浅田社長が”前向きに検討したい”と言っていました』
「では警備会社のアドレスをメールで送りますよ。
この前いただいた名刺のアドレスでいいですか?」
北原『はい、それで結構です』
「はい、わかりました。
で、ですね……もしよろしければなんですが、
実際の経験談とか聞きたくないですか?
颯太と二人でお話に伺いましょうか?」
北原『え、本当ですか?助かります。
SPの口コミなんてないのでね、こちらも知りたかったんですよ。
ぜひお願いしたいですが、ご迷惑ではありませんか?』
「いえいえ、お隣ですから全く問題ありません。
楽しみに伺いますよ」
___うれしすぎて、どうしよう?
よし、また楽しいことになったぞ。
本当は楓たちにも会わせてやりたいんだけど、
さすがに家族総出で行くわけにもいかない。
残念だなあ~。
今、浅田タワーの中に住んでいるそうだから、
そこにお邪魔することになった。
うわ~楽しみだ。
早く颯太に教えなくては。
あ、待てよ。資料を持って行った方がいいな。
よし、明日はミツワに行って説明書でもコピーしておこう。
それと執事の小林さんも連れて行こうか?
なんかセキュリティも聞きたいらしい。
俺より一番詳しいのは小林さんだしね。
すぐ颯太の生家に電話した。
そしたら「喜んで伺います」だって。
あっちは暇なんだよね。分かる分かる。
それで、もう一度北原院長に電話して、
立花家の執事を連れて行きますとお伝えした。
よし、これで完璧だ。
明日が楽しみだよ~。
そこへ颯太が帰ってきた。
「ただいま。なんかごきげんですね?」
「ハハハ、分かる?」
「明日さ、5時に隣の浅田タワーの北原院長のお宅に
お邪魔することになったんだよ。
で、小林さんも一緒に行くよ」
「ふ~ん、なんで?」
「あのね、SPについて色々聞きたいんだって。
あとセキュリティもね」
「そうなんだ。向こうも注文するのかな?」
「多分、そうなると思うよ。
本当はとっくにSPがついててもおかしくないんだよね」
「そうなの?」
「うん。大きな企業だからね。
あっちは創業者の社長さんだからさ。
すごいよ。だって非公開だもん」
「ふ~ん、よくわかんない」
「まあ、いいから。楽しみにしてよう」
「はーい」
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