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第15話 菜の花弁当の波紋
颯太と佐久間の実家に帰った。
「お帰り〜、浅田タワーに行ってきたんだって?」
早速、楓から聞かれた。
うちの家族は全員、好奇心が強い。
俺もね。
「どうだったんだよ?」と淳一。
「あのね。おうちが凄かったんだよ。
雑誌で見てるような感じだった」
颯太が言うから、さらに皆を煽った。
「へえ〜そうなんだ。陽一、写真はないのか?」と父。
「もう〜やめてよ。初めて行った家でさ、写真なんか撮れないよ」
「ふふふ、まあ、そうもそうだな」と父が笑っていた。
「私も行きたかったなあ〜」と楓。
「本当はさ、家族みんな連れて行ってやりたかったんだけど、
今回はSPや警備の話を聞きたいって言うから、
小林さんを連れて行ったんだよ。
結構、小林さんも喜んでたよ」
「それでねえ、菜の花弁当をご馳走になったんだよ」
あーー、颯太が爆弾を落とした。
火がついたぞ。
「ええ? そうなの? 私も食べたかったのに〜!」
「もう、やめなさい。楓もいい年して子供みたいだな」
父が言うと、楓がぶすっとふくれた。
「あのね、病院の前の駅前に菜の花の弁当を売ってるんだってよ。
予約するといいんだって」
「ふ〜ん、そうなんだ。
お父さん、うちの病院にも菜の花弁当を入れてほしいよ。
ついでにソフトクリームといちご」
と楓。
「もう、知らん。勝手にしろ」と父。
「いいよなあ〜。うちの病院の食事もさ、いまいちだもんな。
菜の花フーズに指導に来てもらったら?
たまにはうまい昼飯を食べたいよ。
病院食だって相当うまいって、患者さんから聞いたよ。
あれも研究員たちが作ってるらしいよ」
淳一が珍しく言っている。
「そうだ、ネットで今夜予約するから、
月曜日に駅前の菜の花の店に行って、買ってこようか?」
「賛成!!」
パチパチと拍手が来た。
父さん以外は全員ってことだな。
「でもさあ、ソフトクリームはうちの病院にないからさあ。
売店やカフェに置いたらきっと評判になると思うよ。
患者さんも喜ぶしさ。良いんじゃないの?」
と楓も粘る。
「わかったよ! 陽一、聞いといてくれよ」
へへへ、笑った。父が根負けしたらしい。
「OK」
またメールしておかないといけないな。
楽しそうだ。
いや待てよ。
一度みんなで菜の花病院を見学に行ったらどうだろう?
そこでソフトクリームがあれば試食できるしね。
父も食べたら、また気が変わるかも。
引っ越しが終わったら翌週にでも行こうかな?
土曜日が良いかな?
よし、聞いてみよう。
先に菜の花弁当だな。
俺はすぐネットで調べた。
結構、種類があるねえ。
通常版と、おかずが多いのもある。
どうしよう。
どうせなら、おかずが多いのにしよう。
値段は1200円だ。
やはり400円というのは、本当に福利厚生なんだろうなあ。
でも、こんなことができる企業って凄いよね。
うまいねえ〜。
つまり原価に近いのかな?
毎日2食をまかなえれば、
女性スタッフも楽に仕事を続けられる。
だから人が辞めないんだよ、きっとね。
人を繋ぎ止めるのがうまいんだよなあ。
俺が主婦でも助かると思うさ。
佐久間総合病院でも、
真剣にこういうことを考えるべきじゃないかと思った。
絶対に皆で見学をして見せてもらおう。
弁当は、月曜日の夜に受け取ることにした。
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