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第16話 実家へ引っ越し
とうとう土曜日になった。
実家に建てた新居に引っ越す日だ。
かなり片付けたから、もう残りは大物だけになっている。
午前9時、引っ越しのトラックが来た。
荷物を業者さんにどんどん運んでもらったから、
新居に運び終わっても、まだ11時だった。
よし、優秀じゃないか。
「先生、俺、何からやればいいの?」
「ちょっとそばにおいで」
「うん? なあに?」
手を引っ張って抱きしめた。
くすくす笑っていた。
「だって、かわいくて堪らないからしょうがない」
「もう~……まだ夜じゃないからね」
「あのね、時間に決まりはないんだよ」
「ふふふ、知らなかった!」
「じゃあ、2階のベッドメイクを先にしようよ」
「うん。でも、いたずらしたら駄目だからね」
笑った。
するに決まってるだろう。
その時、チャイムが鳴った。
「陽一、もうできたの? 手伝おうか?」
母と家政婦さんが来てくれた。
タイミングが悪いなあ。
「ありがとうございます」
先に颯太が答えてしまった。
オレ沈没。
しょうがない。
「悪いねえ。じゃあ、台所と洗面所をやってくれる?」
あとはリビングか、テレビを取り付けた。
壁掛け式にしてもらったからスッキリだ。
パソコンは1階に置こう。
プリンターもセット。
以上、終わり。
ここで颯太を下に呼んで、
家政婦さんが作ってくれた引っ越しそばを食べた。
ちょっと休憩とエネルギー補給だ。
母たちは先に食べたのだそうだ。
颯太、身体は大丈夫か?
無理しなくていいからね
「はい。大丈夫」
さて、次は2階へ行こう。
待てよ、今頃気づいたんだけど、
表にSPがいると、居留守が使えない。
「いませーん」って返事をするわけにもいかない。
今後のことを考えると参るな。
日中はゆっくり颯太をかわいがることも出来ない。
SPはラブホテルにも付いてくるのかな?
絶対来るな。うわ~。
今頃、プライバシーがあまりないことに気がついた。
「颯太、どう? 片付いた?」
「まだ、学校の本を出してるとこ」
「洋服はどうした?」
「まだ出してない」
「うん、じゃあ洋服を仕舞うよ」
「はい、お願いします」
颯太も洋服が少なかったのに、
スタイリストを頼むようになってすごく増えていた。
多すぎだよ。
俺も似たようなものだけど、淳一にやるか。
やっている間に、だんだん疲れが出てきた。
「颯太。疲れてないか? 少し休もうよ」
あれ? 颯太が座り込んでいた。
「どうした? 疲れたのか?」
頷いた。
あー、エネルギー切れだね。
やっぱりベッドを先にしないと駄目だったな。
颯太はやっぱり身体が弱い。
突然エネルギーが切れちゃう。
1台のベッドだけ先にメイクをした。
「颯太、ベッドに行くよ」
抱き上げてベッドで横にすると、すぐ目を閉じた。
ああ、失敗したな。
可愛い寝顔の髪を梳いてやり、
頬にそっと手を当てた。
頬にお休みなさいのキスをすると、
あとは、颯太の片づけを優先した。
下は母たちに任せたままだけど、いいや。
ちゃんとやってくれると思おう。
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