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第18話 淳一サイド・三上家がマンション内見
待望の日曜日だ。
やっとの思いで兄さんと颯太が実家へ引っ越して行った。
長かった――2年待った。
婚約者の三上紀子さんと、お兄さんの友則さん、
そしてお義母さんとお義父さんの4人が車でみえた。
下の駐車場は兄さんが契約していた1台分しかない。
ゲスト分は確保できていない。
でも俺の車も1台あるから困るな。
フロントに聞いたが、後日返事をくれることになった。
都会の一等地だから、駐車場は中々困難だ。
頼み込んで、今日だけゲスト分として停めさせてもらうことにした。
もうこれからして有料なんだよね。1日3000円。
リフォームするなら、
俺の車は実家に置いて歩くか、電車で病院に行くしかないな。
マンションのアプローチで「ここです」と言うと、
「うわ〜」と下から見上げて、みんなが喜んでくれた。
最上階に着くと、もうみんなのワクワクが伝わる。
玄関のドアを開けると、テンションは最高潮だった。
「ほう〜」と三上父がすごく感心してくれた。
「まあ、なんて素敵なんでしょう!
場所も一等地だし、駅は近いし、最上階だし、景色はいいし、
部屋は広いし……あなた、ここは最高ですね!」
「そうだな。お兄さんは随分良いマンションを持っているんだねえ。
ここはすごく価値があるよ」
と三上父。
友則さんも、
「ここは素晴らしすぎるくらい最高だね。紀子、良かったねえ〜」
「うん」
と紀子さんも俺を見ながら、嬉しそうにあちこちを見ていた。
三上母は熱心に台所やクローゼットを覗いていた。
兄さんがすごくきれいに使っていたから、
本当に汚れが見当たらない。
浴室やトイレもぴかぴかだった。
ああ〜良かった。兄さん、本当にありがとうと心から感謝した。
「さてと、リフォームはどうしましょうね?」
え? 新築からまだ5年でピカピカなのに、リフォームがいる??
するとは聞いていたけど、
こうやって見ると完璧だと思うんだけど、違うの?
「そうねえ、壁紙や床ね。あと水回りも全部新しいのに替えましょう。
それからカーテンね。注文しないといけないわね。
あ、それと淳一さん、あなたのお洋服は馴染みのテーラーがあるので、注文しないとね。
後で行きましょう。結婚式には着ないといけないわね」
あっさり三上母は決めていた。
「お母さん、ここすごくきれいだよ。
リフォームは要らないと思うけど、なんでやるの?」
と友則さんがまともなことを言ってくれた。
「だって紀子の新居ですよ。
なるべく新しくしてやりたいじゃない?」
三上母は譲るつもりがないと、ここで悟った。
お父さんは聞いてるのか聞いてないのか、
お母さんに反対する気はないようだ。
じゃあ、ダメだな。
「あのう、リフォームはどう考えても
1か月以上はかかると思うんですけど、
それまで僕たちはどこに住めばいいんでしょうか?」
思い切って聞いた。
「あ、それね。この近辺にマンションを探しておきますからね。
それまでは最低限度の荷物でいいでしょう?
荷物は実家に置かせてもらえばいいしね」
そうなんだ。
全く変えるつもりがないんだということが分かった。
あとはもう知らない。
友則さんはあちこち写真を撮っていた。
今日は楓が「遠慮する」と言っていたから、賢かったよ。
その後は、お父さんのバッグ屋さんの近くにある、
高級で有名な、オーダーしかやらない紳士服のお店に連れていかれた。
採寸したり、生地を肩からかけたり、
ワイシャツまで一緒にオーダーされた。
俺が今着ているワイシャツはセールで3000円のやつなんだけど……。
兄さんが言ったことを思い出した。
“持ってる服は全部捨てとけよ。どうせ全部捨てられるぜ”
あれは名言だった。
その通りになりそうだ。
すると楓はどうなる?
いや、それは知らない。
好きにやってくれ。
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