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第19話 菜の花弁当
ようやく、予約した菜の花弁当を受け取りに行ってきた。
家政婦の未知さんの分も頼んだから、すごく恐縮していた。
皆も待っていたんだよねえ〜。
期待が大きすぎてもどうかと思うけど、その辺は知らない。
テーブルに並べて、ビールで乾杯だ。
「菜の花弁当、カンパーイ!」
さあ、広げたらどうなんだろう。
確かにおかずは多めだ。
野菜料理も多い。
お母さんが真っ先に食べた。
「あ、味が濃くない!」
一瞬、皆の注目を浴びていた。
今度は楓だ。
「なんか不思議。癖がないというか……これ毎日食べられるかもね」
素人の意見を聞いてもな……と思いながら、
未知さんのところに行って聞いてみた。
「う〜ん、すごくいろんなお出しの味がしますね。
きっと工夫なさっているんでしょう」
へえ〜、そうなんだ。
「俺これ毎日でもいいわ。うまいよ。
父さん、確実に病院の食堂の定食よりずっとうまいよ」
と淳一。
父さんは何も言わずに黙々と食べていた。
おかずが8種類くらい入っていた。
派手ではない。
でも一つ一つの味が丁寧で、おいしく感じた。
確かに毎日食べられるわ。
やはり、毎日の昼食がこれならうれしい。
いや、夜も食べられるなら、
菜の花病院の人たちのように二食、三食と絶対頼むな。
いろいろ考えながら食べていた。
見ると、父はとっくに食べ終わってお茶を飲んでいた。
「父さん、どうなの?」
「分からん。福利厚生で400円だと言ってるんだろう?
確かに400円なら買うさ。
でもそれが600円、800円となると、
毎日のことだから買わないさ」
そこで楓が、
「私なら600円でも買うよ。
週に二回か三回なら800円でも買うよ。
外に食べに行くより外れないもん」
なるほど、確かにそうだ。
外食は今時、安くても1200円はする。
コンビニでも600円はする。
今回はおかずが多いタイプで1200円。
400円で売っていると言ったのは、確か980円だったと思う。
仕入れ値を70%で良いなら、686円だ。
これを700円にするか、
86円をうちの福利厚生で持つか?
しかし福利厚生なら、全員に行き渡らないと不公平だ。
やっぱり無理なのかな?
売るなら、やはり上限は600円が良いところだな。
利益なしだけど、喜ばれる。
しかし、食堂の売り上げが落ちる。
――――やっぱり、無理か。
食堂の味を良くするのが一番早いんだよな。
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