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第20話 菜の花総合病院・見学
午後から授業がないという颯太と、一緒にミツワに行った。
すると、弁護士の山川先生から話があるという。
「実はですね、驚いたことがあったんですよ。
紗奈ちゃんと香菜ちゃんが菜の花病院の音楽スタジオで、
Natsuさんや、ステラビートとかいう、
ダンスグループの人たちにダンスを教えてもらったらしいんです。
桃香ちゃんがいつもそこで習っているらしくて、
連れて行ってくれたそうです。
二人ともすっかり気に入って、
これから毎週習いに行きたいから、
月謝一人2万円を払ってくれというんですよ」
「へえ〜、あの子たちがねえ〜。良かったねえ。
桃香ちゃんが良い友達になってくれたんだねえ」
颯太が驚いていた。
「そうだね。画期的なんじゃない?
だってあの子たち、友達がいないって言ってたよね?
だったら、一度覗いてみたくなったな。
音楽スタジオって見たことないもんね。どこにあるんだろう?」
俺は興味津々だった。
「4月4日が見学日でしょう?
山川さんも一緒に菜の花病院へ見学に行かれますか?」と颯太。
「あ、ご一緒してもいいですか?
ではぜひお願いします。楽しみですよ」
*
4月4日土曜日、午後2時。
俺たちが菜の花総合病院に到着すると、
北原院長、莉子さん、夏さん、桃香ちゃんが迎えてくれた。
「こんにちは。大勢で押しかけました。よろしくお願いします」
先に家族を紹介し、
その後ミツワの顧問弁護士・山川先生を紹介した。
すると北原院長も、
「ではご紹介します。妻の莉子と娘の桃香です。
浅田夏輝も家族です。
どうぞよろしくお願いします。
今日はごゆっくりご覧ください」
北原「では早速なんですが、今日は土曜日の午後なので、
スタッフのクラブ活動の日なんですよ。
ちょっとご覧になりますか?」
「え? スタッフのクラブ活動……何ですか?」と父。
「まあ、見れば分かるので、
クラブ活動はサテライトの3階でやってるんですが、
スタッフの自発的な希望で始まったんですよ。
どんどんメンバーが増えましてね。
今では病院以外の仕事を引き受けて、
稼いでいるみたいですよ」
「は?」
父が理解不能のようだった。
まあ、それは全員同じだけどさ(笑)
3階に行くと、
「菜の花の丘・心とからだのリハビリ室」
と入口のドアに書いてあった。
「ここは作業療法室、生活療法室、音楽療法。
前はアニメを使った療法室もあって、
それは莉子が担当していたのですが、
今は多忙の為、休止しています。
先にモデルクラブを見学されますか?」
「は? モデルクラブ?」と俺。
なんじゃそれは……理解不能だ。
皆を見ても、不思議そうな顔をしていた。
生活療法室と書かれたドアを開けてくれた。
うわ〜、何人もの長身のイケメンたちが、
本当にモデルのようにウォーキングしていた。
俺たちは口を開けたまま顔を見合わせた。
楓が思いっきりウケて笑っていた。
「あのう、院長、これはどうなってるんですか?」と俺。
「あははは、ちょっとリーダーを呼びますよ。
加納君と小林君、ちょっと来てくれる?」
「はい、こんにちは」
え? 超イケメンの本職モデル?
「ええとね、この二人は理学療法士で、
このモデルクラブのリーダーなんですよ。
他のメンバーも皆うちのスタッフです。
ファッションショーやモデルの依頼が来ると出演するんです。
うちは出稼ぎOKなのでね。
自由にしてもらってます」
「はあ〜」
深いため息を漏らしたのは山川先生だった(笑)
「加納君、クラブは楽しいの?」
「はい、最高ですよ。これで院長先生も入ってくださったら、もっと稼げるのにね〜」
「いや、それはもういいから」
「あれ? 院長はファッションショーに、
出られたことがあるんですか?」と俺。
院長が一瞬詰まった。
加納「院長先生が一番カッコいいんですよ。
ご覧になったことありますか? 最高ですよ」
「ちょっとそれはもういいから」
北原院長が逃げ気味だった。
「じゃあ、次はダンス部と歌唱部があるんですよ」
隣の部屋を開けると、みんなで踊っていた。
「へえ〜」
また皆で驚きの声が揃った。
「ここは長谷川瑛太君と言って、昔うちの奨学生だった子で、
今は小児科で専攻医をしているんです。その子がリーダーです。」
なんかその子かな?
好ましい青年が踊りながら、手を振ってくれた。
「あとは奥の音楽室なんですけど、ここは防音が利いてるんですよ」
ドアを開けると、いきなり演歌が聞こえてきた。
小柄な男性スタッフが駆けて来た。
「あ、院長先生。こんにちは、皆さんどうなさったんですか?」
「吉岡君、お疲れ様。今日はね、佐久間総合病院の皆さんが見学に見えたんですよ」
「あ、そうなんですね。よろしかったら、ご一緒に歌いませんか?」
オーノーノーと、楓や淳一が慌てていた。面白い。
「彼は吉岡君と言って、サテライトの夜間専門の事務スタッフなんです。
歌唱部の面倒を見てくれてるんですよ。
歌はね、それぞれ好きな曲を歌うらしいですよ。
さっきの演歌はねえ、
お掃除スタッフで演歌が大好きな人がいてね。
仕事中もちょっと歌ってる時があるらしいですよ」
院長が笑っていた。面白い。
注意するんじゃないんだね。
「あとは6階が本館の休憩室なんです。
ここは写真クラブと荷物持ち隊の皆さんですね」
荷物もちたい……?、
なにそれ?
そして本館の6階に連れて行ってくれた。
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