20 / 34

第20話 菜の花総合病院・見学

午後から授業がないという颯太と、一緒にミツワに行った。 すると、弁護士の山川先生から話があるという。 「実はですね、驚いたことがあったんですよ。 紗奈ちゃんと香菜ちゃんが菜の花病院の音楽スタジオで、 Natsuさんや、ステラビートとかいう、 ダンスグループの人たちにダンスを教えてもらったらしいんです。 桃香ちゃんがいつもそこで習っているらしくて、 連れて行ってくれたそうです。 二人ともすっかり気に入って、 これから毎週習いに行きたいから、 月謝一人2万円を払ってくれというんですよ」 「へえ〜、あの子たちがねえ〜。良かったねえ。 桃香ちゃんが良い友達になってくれたんだねえ」 颯太が驚いていた。 「そうだね。画期的なんじゃない? だってあの子たち、友達がいないって言ってたよね? だったら、一度覗いてみたくなったな。 音楽スタジオって見たことないもんね。どこにあるんだろう?」 俺は興味津々だった。 「4月4日が見学日でしょう? 山川さんも一緒に菜の花病院へ見学に行かれますか?」と颯太。 「あ、ご一緒してもいいですか? ではぜひお願いします。楽しみですよ」 * 4月4日土曜日、午後2時。 俺たちが菜の花総合病院に到着すると、 北原院長、莉子さん、夏さん、桃香ちゃんが迎えてくれた。 「こんにちは。大勢で押しかけました。よろしくお願いします」 先に家族を紹介し、 その後ミツワの顧問弁護士・山川先生を紹介した。 すると北原院長も、 「ではご紹介します。妻の莉子と娘の桃香です。 浅田夏輝も家族です。 どうぞよろしくお願いします。 今日はごゆっくりご覧ください」 北原「では早速なんですが、今日は土曜日の午後なので、 スタッフのクラブ活動の日なんですよ。 ちょっとご覧になりますか?」 「え? スタッフのクラブ活動……何ですか?」と父。 「まあ、見れば分かるので、 クラブ活動はサテライトの3階でやってるんですが、 スタッフの自発的な希望で始まったんですよ。 どんどんメンバーが増えましてね。 今では病院以外の仕事を引き受けて、 稼いでいるみたいですよ」 「は?」 父が理解不能のようだった。 まあ、それは全員同じだけどさ(笑) 3階に行くと、 「菜の花の丘・心とからだのリハビリ室」 と入口のドアに書いてあった。 「ここは作業療法室、生活療法室、音楽療法。 前はアニメを使った療法室もあって、 それは莉子が担当していたのですが、 今は多忙の為、休止しています。 先にモデルクラブを見学されますか?」 「は? モデルクラブ?」と俺。 なんじゃそれは……理解不能だ。 皆を見ても、不思議そうな顔をしていた。 生活療法室と書かれたドアを開けてくれた。 うわ〜、何人もの長身のイケメンたちが、 本当にモデルのようにウォーキングしていた。 俺たちは口を開けたまま顔を見合わせた。 楓が思いっきりウケて笑っていた。 「あのう、院長、これはどうなってるんですか?」と俺。 「あははは、ちょっとリーダーを呼びますよ。 加納君と小林君、ちょっと来てくれる?」 「はい、こんにちは」 え? 超イケメンの本職モデル? 「ええとね、この二人は理学療法士で、 このモデルクラブのリーダーなんですよ。 他のメンバーも皆うちのスタッフです。 ファッションショーやモデルの依頼が来ると出演するんです。 うちは出稼ぎOKなのでね。 自由にしてもらってます」 「はあ〜」 深いため息を漏らしたのは山川先生だった(笑) 「加納君、クラブは楽しいの?」 「はい、最高ですよ。これで院長先生も入ってくださったら、もっと稼げるのにね〜」 「いや、それはもういいから」 「あれ? 院長はファッションショーに、 出られたことがあるんですか?」と俺。 院長が一瞬詰まった。 加納「院長先生が一番カッコいいんですよ。 ご覧になったことありますか? 最高ですよ」 「ちょっとそれはもういいから」 北原院長が逃げ気味だった。 「じゃあ、次はダンス部と歌唱部があるんですよ」 隣の部屋を開けると、みんなで踊っていた。 「へえ〜」 また皆で驚きの声が揃った。 「ここは長谷川瑛太君と言って、昔うちの奨学生だった子で、 今は小児科で専攻医をしているんです。その子がリーダーです。」 なんかその子かな? 好ましい青年が踊りながら、手を振ってくれた。 「あとは奥の音楽室なんですけど、ここは防音が利いてるんですよ」 ドアを開けると、いきなり演歌が聞こえてきた。 小柄な男性スタッフが駆けて来た。 「あ、院長先生。こんにちは、皆さんどうなさったんですか?」 「吉岡君、お疲れ様。今日はね、佐久間総合病院の皆さんが見学に見えたんですよ」 「あ、そうなんですね。よろしかったら、ご一緒に歌いませんか?」 オーノーノーと、楓や淳一が慌てていた。面白い。 「彼は吉岡君と言って、サテライトの夜間専門の事務スタッフなんです。 歌唱部の面倒を見てくれてるんですよ。 歌はね、それぞれ好きな曲を歌うらしいですよ。 さっきの演歌はねえ、 お掃除スタッフで演歌が大好きな人がいてね。 仕事中もちょっと歌ってる時があるらしいですよ」 院長が笑っていた。面白い。 注意するんじゃないんだね。 「あとは6階が本館の休憩室なんです。 ここは写真クラブと荷物持ち隊の皆さんですね」 荷物もちたい……?、 なにそれ? そして本館の6階に連れて行ってくれた。

ともだちにシェアしよう!