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第25話 秘密の調査

院長室で友谷くんから衝撃の話を聞き、 怒りが込み上げてきた。 長年ずっと不正が行われていたのだろうか? やったとしたら、係長の安藤しかいない。 意地でも証拠をつかんで追い出してやる。 「だから不味かったんですよ」と友谷くんに言われた。 なぜ疑問に思わなかったんだろう? いつからだ? そういえば外部の調査を依頼したことがない。 信じ切っていた。いや、面倒だったんだ。 すべて自分の甘さと責任だ。 友谷くんから、下級の出汁素材や調味料を、 すべて破棄してほしいと言われた。 「これでは何を作っても美味しいものはできません」と。 すぐに承諾した。 友谷くんに思うように注文してもらい、 菜の花フーズのつゆや出汁、 調味料をどんどん入れてもらうことにした。 そして明日の夜、厨房の職員が帰った後に、 すべての粗悪品の材料を廃棄することに決めた。 今日は廃棄予定の在庫のチェックだ。 これは俺がやった。 係長が何度もソワソワして覗きに来たが、 知らん顔をしていた。 フーズの納品はあさっての早朝にしてもらった。 そして友谷くんのアドバイスで、 メニューを今可能な三つだけに絞った。 友谷くん曰く、出汁に頼らず何とかなるメニューは三つ。 1. カレー 2. サラダ 3. うどん&そば 麺つゆは昆布や鰹節を使って、 一から作ってくれた。 厨房のパートさんたちは友谷くんの指示に従い、 忠実に動いてくれた。 そして彼の仕事ぶりを興味深そうに見守っていた。 カレーの味見をしたら、 皆が「うわ〜美味しい!」と大絶賛した。 係長が隅の方で面白くなさそうにしていたが、無視だ。 俺も試食させてもらったが、 これは天国のような味じゃないのか? 正直、目尻に涙が滲んだ。 夕食の時間。 職員たちがどんどん食べに来た。 「え、今日はこれだけしかないの?」 とメニューの少なさに不満そうだったが、 誰かがカレーを食べた途端に「うま〜い!」と叫んだので、 皆が「どれどれ」とカレーにしていた。 「本当だ。すごく美味しい、なんで?」と笑っていた。 パートさんが「今日はカレーもうどんもそばも、めちゃめちゃ美味しいよ」と 職員に薦めていた。 その夜はひっきりなしに訪れる職員たち。 みんな笑顔で食べていった。 ああ、俺は今まで何をしていたのかなあ? そして、父と淳一、楓が食べに来た。 今日は家で夕飯を食べないんだな。 「お疲れ様。今日は何を食べればいいんだ?」と父に聞かれた。 「カレーが抜群だよ」 胸を張って薦めた。 「じゃあ皆でカレーにして、 あとはそばを一つ頼んで味見をしようか?」と父。 そしてみんなで食べていた。 眺めていると、楓と淳一が親指を立てて俺に見せた。 くすくす笑った。

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