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第28話 休養
ようやく食堂の係長を懲戒解雇できて、元凶は取り除いた。
この責任は俺にある。恥ずかしい限りだ。
今まで食堂のまずさから逃げていたんだな。
「こんなもんだろう」と思い込み、
味を追及することをしなかった。
友谷くんが来てくれてから、
食堂に来る人たちが目を輝かせて食べに来てくれる。
「今日はなんなの?」と皆が聞いてくる。
パートさんがうれしそうに、
「今日は和定食でも洋定食でも美味しいよ」
と言ってくれるのが、たまらなくうれしい。
そろそろ働き詰めの友谷くんにも、
休んでもらわないといけない。
「友谷くん、連日お疲れ様です。
そろそろ休みを取ったら? 疲れたでしょう?」
「あー、どうしようかな。
そしたら院長が先にお休みしてください。
僕はあとやりたいことがあって、
それに二日はかかるんですよ」
「そうなの? じゃあ俺が先に休ませてもらうね。
今度は月曜日に出てきます」
「はい、承知しました」
「あ、それとね、人を募集してるから、
もし来たら一緒に面接してほしいんですよ。
料理ができる人に来てほしいんだけど、
だからといって菜の花の味を変えられても困るしね。
なんかその辺が難しいかなって思ってるんだよね」
「ああ、その問題はありますよね。
味の好みはみんな違いますから」
「ではまたゆっくり話しましょう」
「はい。ごゆっくり。お疲れ様でした」
あとのことは父の理事に頼んで、
二日ばかり休むことにした。
連日の早朝から深夜までの疲れがたまっていた。
でもなんだか胸がザワザワして、
ちょっと誰かと喋りたかった。
それで、北原院長に途中経過をメールで送っておいた。
なんか俺、北原院長と友達になりたいんだよな。
駄目かな?
感性が似ている気がするんだよな。
さあ、帰ろう。颯太に電話した。
「今どこ?」
「あ、会社に寄ってます」
「あれ? 用事があったの?」
「広報に呼ばれたんですよ」
「うん、そうか。
明日から一泊二日で葉山に行きたいんだけど、上川さんにできるかどうか聞いてくれる?」
「はい。分かりました。結果はメールしますね」
颯太は今日も元気だ。良かった。
SP同伴で帰宅した。申し訳ないよ。
俺にSPは要らないんだよな。
そしてメールが届いた。
「上川さんが予約が取れたって言ってます。
SPの部屋も一緒に取ったそうです」
「颯太ね、SPの部屋はいくつ頼んだのかな?」
「あ、二部屋だそうです。だから全部でツインが三部屋です」
「うん、分かった。本部に連絡しておくよ」
「はい、お願いします」
その場で警備の本部に電話した。
「明日から一泊で葉山の会員制リゾートに泊まりに行きます。
SP用に二部屋ツインで取ってあります」
そしてリゾートの場所と名前をメールで送った。
これで良し。
あとは颯太待ちだな。
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