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第33話 潮風と午睡のひと時

 ランチを食べてマリーナを散歩していたら、 もうチェックインの時間になった。 SPさん達もチェックインしてもらう。 夕食に逗子方面の和食屋へ行く件も、 すでに連絡が入っているらしい。 「6時35分に迎えに来ます」とのことだった。 部屋は一番いいスイートルームにした。 「先生、こんなに広くて素敵な部屋は初めてだよ」 「そうだね。俺も初めてだよ」 「景色がマリーナ全部見えるし、 バルコニーのソファに寝転がるのも良さそうだね」 「うん、あとで先生とあそこで寝転がりたい!」 「うん、そうしよう」 さっと荷物を整理し、二人とも部屋着に着替えた。 ドリンクを出してバルコニーのテーブルに置く。 「さあ、颯太、準備できたよ。おいで」 二人でグラスを持った。 「先生、乾杯する?」 「うん、しよう」 「なんに?」 「俺たちの幸せに乾杯だよ」 二人でクスクス笑った。 なんだかくすぐったくて、どうしようもなく幸せだ。 デレデレだ。 乾杯したあと、残念ながら夕陽にはまだ早い。 二人で足を伸ばせる大きなソファにくっついて座る。 ちょっとベッドみたいだ。 「先生、俺幸せだから、ちょっと眠くなってきた」と颯太。 「うん。少し眠った方がいいよ」 足元にブランケットをかけてやった。 あとはアラームだな。 俺も眠りそうだ。 海風を感じながら、しばし目を閉じた。 目が覚めると小一時間経っていた。 颯太は気持ちよさそうにぐっすり眠っている。 俺の方が幸せなのにね。 でも、そのまま眠らせておくことにした。 さらに30分ほどすると、颯太も目を覚ました。 そろそろ夕陽が見える頃だ。 「颯太、迎えが来るから着替えておこうか?」 「うん、そうする」 6時35分ぴったりにSPが迎えに来てくれた。 車はぎりぎりまで近くで待機してくれていた。 「店の駐車場がないようなので、少し離れたところに停めます。 ドライバーは少し遅れて到着します」 「はい、分かりました。店に伝えておきます」 店に着くと、すぐ案内された。 俺たちの後ろの席だった。 混んでいて、SPが選ぶ余地はなかった。 SPも察してくれて何も言わなかった。 全員、コース料理を頼んだ。 ついでにノンアルビールも頼んであげると、 SPさん達が恐縮していた。 「先生、お刺身が楽しみだねえ」 「うん、煮魚や天ぷらもいいかもね」 そして予想通りの品々が並んだ。 やっぱり和食はいい。 「先生、すごく美味しいね」 「うん、青魚の刺身の臭みが全くない。 刺身じゃないみたいだ。 変な感想だけど」(笑) 煮魚も身がぷりぷりしている。 おまけにフグの天ぷらは超うまかった。 これは毎日でも食べられる。 やはり和食にして正解だった。 幸せな夜だ。最高だ。 夕陽まではゆっくり見られなかったけど、満足だな。 その後、ホテルの部屋に戻った。 SPさん達も出張扱いなんだろうけど、 美味しく食べてもらえたようだ。 良かった。

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