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第37話 タブレットを導入して
今、友谷君は入院の厨房で活躍中だ。
また廃棄したいものがあると連絡を受けた。
明細を書いてくれれば全部OKと返事した。
今は俺が忙しいので任せっきりだが、
父に毎日見に行くよう頼んである。
少しは責任の一端を担ってほしいという気持ちだ。
数日後、北原院長から紹介してもらった会社から、
タブレットの納品と共にトレーナーが2名来てくれた。
こちらでは院内でスケジュールを組み、
全員にタブレットの使い方と掲示板の使い方を講習した。
とはいえ、お掃除スタッフは入力ができない人が2割ほどいた。
でもスマホのLINEは使うんだよな。
完全にできないわけではなく、
慣れないから怖がっているだけだ。
掲示板を見る方法とチャットの使い方を講習し、
数回お互いに書き込みをしてもらった。
先にこの楽しさを知れば、どんどん進むんじゃないかと思う。
俺もニックネームで率先して書き込んでいる。(笑)
全員への講習が終わった段階で、
菜の花からトレーナーに来てもらった。
「何事ですか?」と清掃課の係長がいぶかしげに聞いてきた。
そこでトレーナーに、菜の花流の掃除システムを説明してもらった。
「はあ……」というだけだった。
恐らく、その意味と価値を分かっていないのだろう。
もっと若くて柔軟な人に来てほしい。
掃除スタッフをグループに分け、
フロア別・部署別に菜の花のやり方を教えてもらった。
みんな、最初は呆然としていた。
終わる1時間前に点呼を取る。
<残業になりそうなところがあったら皆で助ける>
ここがネックらしい。
「その人の能力の問題だ」という意見もあった。
確かに、人の不足分を助けろと言われても、
自分が損だと思えば不満だろう。
そこで部署別に小さくグループ分けし、リーダーを決め、
リーダー手当を5000円出すことにした。
その代わり、持ち場の中で全員が時間通り帰れるよう、
最大限の努力をしてほしいとお願いした。
そうすれば、遅れているところは1時間前にチェックし、
助けられる人、または全員でヘルプに行かざるを得ない。
毎日その人が遅れるようなら、自然に持ち場を減らすだろう。
そしてみんなで定時に上がる。
結果、菜の花流になる。
菜の花のトレーナーは4日間指導してくれた。
感謝を伝えて引き上げてもらい、北原院長にも御礼を伝えた。
俺はラスト1時間の見回りを開始した。
それぞれのグループの掃除区分を細かく図面にし、
手順を聞いて、最後がいつもどこになるのか確認しておいた。
俺が姿を見せただけで焦るらしく、
みんなで時間内に終われるよう急いでいるのがよく分かる。
タブレットを腰からぶら下げているが、
終わったとチェックを入れるのを忘れる人が多いようだ。
焦ったリーダーが見に来たりしている。
まだ慣れていないんだろう。
いちいち入力するのが面倒なんだと思う。
俺はただ笑顔で「みんな頑張ってねえ」と声を掛けるだけ。
俺は悪いやつだな。
これで定着するのか?——それはまだ分からない。
辞めずに続けてくれたら、それが答えになる。
あとはナースだな。
急に掃除をしてほしい時には、掃除のリーダーに声を掛ける。
うちは菜の花のように全員がインカムを持つことはしていない。
大体、電話で呼び出す。
でもお掃除スタッフだけ、先にインカムを入れようかな?
本人を探す時間が無駄だ。
それでまた理事に話してOKを取った。
インカムでリーダーに「ここ終わった」と報告すれば、
リーダーがチェックを入れる。
注文すると、メーカーさんが翌日持って来てくれた。
そしてお掃除グループごとに説明して回った。
さあ、この結果がどう出るのかは分からない。
でもナースは医局からインカムで掃除のリーダーに
連絡できるようになった。
これで急に掃除してほしい場所ができた場合などは、
随分時短になる。
菜の花で目を見張るのは、
女性の力をたくさん借りていることだ。
うちは要所が全部男だ。役に立たない。
いかん。これを課題にしよう。
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