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第42話 淳一と楓の合同結婚式
楓はすべての荷物を三上家に運び終え、
部屋に残っているのは不用品だけらしい。
淳一も同じだ。
さっさと捨てればいいのに、
要らないものを全部置いていきやがった。
まったく、似た者兄妹だな。
ところで明日の結婚式は超豪華だ。
会場は、結婚式場として名高い椿山園荘。
三上家のお父さんの伝手で押さえたらしい。
まあ、それはいいんだけどね。
佐久間家側は、淳一や楓の友人を呼んでもそれほどの人数にはならない。
一応、佐久間病院から内科部長と副院長には声をかけておいた。
立花家からは執事の小林さん、弁護士の山川さんにも出席してもらった。
つまり、招待客の三分の二は三上家の関係者だ。
それでも総勢やっと100名。
対して三上家は200名。
さすが老舗、付き合いの幅が桁違いだ。
楓が苦労しそうだな。
まあ、逃げ道としては仕事を辞めないことだ。
紀子さんが、驚くほど可愛くなっていた。
赤い艶やかな打掛に、ウェディングドレス、お色直しまで実に華やか。
それに比べて淳一は地味だな……と思ったら、彼にもお色直しがあった。
男のお色直しって要るか?
でも三上母のお見立てだから、逆らえるわけがない。
楓も負けていない。
こちらも三上母のお見立てで、紀子さんと同じ数のお色直しが用意されていた。
うちの両親は、ただ黙ってお金を出しただけらしい。
会場だけでなく、素敵な庭園でも花嫁姿の撮影をしていた。
「楓姉さん、きれいだねえ」
颯太が楓に声をかけると、楓は泣きそうな顔をしていた。
俺も「楓、今までで一番きれいだよ」と声を掛けた。
こうして見ると、友則さんもなかなかの長身でイケメンだ。
楓が惚れるのも分かる。
俺と颯太はやることもなく、ただ眺めているだけだった。
招待客は皆驚いていた。
兄妹同士で同時に結婚だもんな。珍しいよね。
「効率がいいですなあ〜」
誰かが言っていた。
だよね?
皆が言うから、そのたびに笑ってしまう。
金屏風の前に二組が並ぶと、
「ほう〜」と感心したように、交互に二組を眺めていた。
颯太が「笑っちゃだめ」と言って、
俺のひざをポンポン叩くんだけど、無理。
華やかな行事は粛々と進み、やがて終了した。
ああ……緊張した。
今日は俺も颯太もタキシードだ。
俺は紺に近い濃いブルー、颯太は上品なシルバー。
どちらも上質で洒落ている。
上川秘書がオーダーしてくれたものだ。
「立花の名前にふさわしいように、格を合わせました」
だって。笑うしかない。
今夜は二組の夫婦もこのホテルに宿泊し、
明日は羽田発のイタリア行き直行便に乗る予定だ。
今回は、俺が三上家に顔向けできるようにと、
奮発してファーストクラスの往復チケットを取ってあげた。
淳一と楓から大感謝されたよ。俺からの結婚祝いだ。
ただし、旅行の宿泊先やコースなどはすべて上川秘書に丸投げ。
「二組の新婚旅行を1週間で組んであげてください」
と颯太が一言頼んだだけ。
支払いはすべて颯太。
これが彼からの結婚祝いらしい。
想像すると恐ろしい。
一体いくらかかるんだろう……と一瞬思ったけど、
まあ、颯太の懐具合なら痛くもかゆくもないだろう。
日程や宿泊先も聞いたけど忘れた。
どうでもいいわ。
楽しく過ごせればそれでいい。
明日は羽田まで俺と颯太が見送りに行くことになっている。
そういえば、俺と颯太はまだ新婚旅行に行ったことがない。
結婚した頃は、颯太の身体が弱くて行けなかった。
その後は颯太が大学に通うのに精一杯。
今でこそ順調に通っているが、今度は俺の方が仕事で忙しい。
颯太が大学を卒業したら、ゆっくり行こうと思う。
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