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第49話 ムラーノ島にて
その後は運河沿いのレストランで食事をした。
ここではシーフードのパスタに白ワイン。
楓は「こんなに美味しいの初めて」と目を輝かせ、
颯太も「魚が全然違う」と嬉しそうに食べた。
午後は水上タクシーでムラーノ島へ。
ヴェネツィアンガラスの工房が予約されていた。
そこでは、作品が出来るまでの工程を見学させてくれた。
吹きガラスの炎が揺れ、
職人の動きに颯太が釘付けになった。
家族は色違いのグラスを選び、
「割れたら困るから日本へ送ろう」と紀子さんや楓が言い、
まとめて配送の手続きをした。
「待って、俺もお土産いっぱい買う」と颯太。
「あ、俺も買おうかな?」と急に俺も買う気になる。
颯太はヴェネツィアンガラスのペンダントトップを、
生家の家政婦さん、佐久間母と家政婦さんの分。
それから紗奈や香菜にはピアスを買っていた。
他に、執事と運転手の分にビールグラスも買っていた。
俺も父と母にグラス。
生家の家政婦さんにもグラス。
自宅用にビールグラス2個と小さな花瓶。
女傑と上川秘書にはペンダントトップを買った。
そしてまとめて送ってもらった。
本島に戻る頃には、
夕方の光が運河を金色に染めていた。
ホテルへ戻る水上タクシーの上で、友則さんに声を掛けた。
「明日はフィレンツェだね。
友則さんの本当の故郷みたいな場所なんじゃないの?」
友則は少し照れたように笑い、
「そうなんですよね。なんだかワクワクします」
楓がそんな彼の手をそっと握った。
ヴェネツィアの夜風は、
家族の心をゆっくりとほどいていった。
一旦ホテルへ戻り、着替えてから夕食だ。
また水上タクシーに乗るんだよね。
時間は18時30分くらい。
もう空には夕陽が出ていた。
水上タクシーに乗ると、一斉に水面に夕陽が輝いて揺れた。
ああ~、これを見るためにこのコースになっていたのかな?と思った。
颯太を見ると、なんとか保っている感じだ。
早く食べて帰ろうと思う。
わざわざ行ったレストランは、さすがに美味しかった。
しかしこのあとで、友則さんが必殺技を出した!
「皆さん、なんとなく塩分不足になりませんか?
実は日本から塩飴と梅干し飴を持って来たんですよ。食べます?」
「いるーーーっ!!」
皆で叫んだ。(笑)
もう洋食ばっかりじゃ、なんか違うんだよな。
お腹がいっぱいなのに、なんか足りないんだよ。
お陰でこの後は何回も貰う羽目になった。
ここでは1時間もすると、すぐ引き上げた。
ホテルに帰ると、颯太はもうバタンとベッドに横になった。
「颯太、服を脱いでから歯磨きをしよう」
抱き上げて脱がせてパジャマを着せた。そして歯磨き。
また連れて行ってベッドで横にした。
すると、もう何も言わずにそのまま眠ってしまった。
颯太の体力に合ったスケジュールじゃないもんな。
旅行は体力がいる。
いや、塩分不足になるせいかな?
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