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第55話 帰途・ナポリピザ

 ポジターノの素敵なホテルの夕食は、ミシュランを取ったとかで、 それはもう素晴らしいものだった。 しかし、どうにも塩分が足りない。 部屋に戻ってから、もらった梅昆布茶を颯太と大事に大事に、少しずつ飲んだ。 梅干しの酸味は最高だ。天才的だと思う。 翌朝。今日はローマへの帰路の旅になる。 来た時と同じように一旦ナポリまで車で行き、 そこから高速鉄道に乗ってローマへ向かう。 「あのう、どうせナポリで降りるなら、有名なナポリピザを食べたいと思いませんか?」と友則さん。 「あ、そうですねえ。いい思い出になるかも」と颯太も大賛成のようだ。 「そういえばさ、イタリアに来てピザってあまり食べなかったよね?」と楓。 「そう?じゃあ、ナポリで降りて有名なピザ屋さんに行こうか?」 俺が言うと、みんな「賛成!」だってさ。 しかし、俺は和食が食べたくて心が折れそうだった。 それでもアテンドが、ナポリピザで有名なレストランに連れて行ってくれた。 ナポリ駅から徒歩10分程度だ。 「メニューは“マルゲリータ”か“マリナーラ”の2種類です。マリナーラはチーズなしです」とアテンド。 「ん?チーズなしのピザなの?」と淳一。 「マリナーラはナポリ最古のピザで、香ばしい焦げ目と軽い生地に、 トマトソース、ニンニク、オレガノ、オリーブオイルだけなんです。 地元の人はこれをよく注文します」とアテンド。 「じゃあ、颯太。マルゲリータとマリナーラを頼んで半分ずつにしようか?」 「う〜ん、どうしようかなあ?俺、ピザがいいんだけど……」と颯太。 結局、全員マルゲリータを注文した。 大きなお皿に乗せて、すぐ持ってきてくれた。早い! ピザのまわりの縁がぷくっと膨れていて、 あちこちに黒い焦げがついている。 真ん中は薄くて、トマトソースがたっぷりのようだ。 熱々のピザをそっと切り分けた。 切った瞬間、モッツァレラの白いミルクがとろりと流れた。 このチーズは水分が多いんだな。 食べてみると、最高にうまい。 「ねえ、これ最高に美味しいよね〜」と楓と紀子さんが感激していた。 もちろん淳一も友則さんも気に入ったようだ。 結局、俺も美味しかったんだけどね。 その後ローマに着き、ホテルに一旦荷物を置き、日本へ送る荷物をまとめた。 まだ増えそうなお土産を持ち帰らないといけないからね。 いろいろやることを済ませたら、夕食は中華料理店に行くことにした。 ああ〜、これでもいい。イタリアンでなければ結構です。 翌朝はまっすぐ空港へ向かった。 空港では免税店でお土産を買い、そのまま飛行機に乗った。 結構この旅は長かったなあ。 颯太は最初の食事を食べたら、さっさとパジャマに着替えてお昼寝。 慣れたもんだね。 機内食はちゃんと和食の会席料理が出た。 ああ〜日本に帰ってきた!と感動した。 今回は突然飛行機に乗ったから、事前の準備ができなかった。 こんなに長い間旅行するなら、もっと日本食を持ってくればよかったと後悔した。 俺は海外旅行に向いてないな。 しかし、横を見ると颯太は幸せそうな顔で眠っていた。 ふっ、まあいいか。スポンサーは颯太だもんね。 楽しかったよ。本当にありがとう。

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