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第20話
灯りを消す手間さえ、惜しい。服を脱がす過程を楽しめない。
全裸になった絢聖の手首を布団に縫い付ける。甘いガーデニアの香りが鼻をつく。
こいつは、いつも身近な色気を振り撒いて、相手を踏み込ませ、揺さぶりをかける。それが、癖だからこそ、たちが悪い。
絢聖の手首に力をかけた瞬間、自分が何をしようとしているのか、分かってしまう。
これは、欲でも、衝動でもない。
――焦りだ。
身体を寄せる。逃がさないための距離。確かめるための近さ。いつもなら、ここまでしない。一歩手前で、手を引く。それが、俺のやり方だった。
壊さないため。依存させないため。そして何より、自分が壊れないために。でも、今夜は違った。
――俺では足りないのかもしれない。
その可能性をかつてないほど、リアルに感じる。首に歯を立てたい。でも、優しくしたい。その二つが、今夜は、うまく両立しない。
「……悠、寒い…」
名前を呼ばれる。
期待に満ちた濡れた瞳。返事をすれば、踏み込んでしまう。だから、答えない。代わりに、唇を合わせる。
「行くな」の意。言葉にしなくても、分かるだろうと勝手に甘えている。
跡は付けない…でも、逃げ道は残さない。絢聖が、目を閉じる。その仕草に、胸が苦しくなる。
――信じてくれている。
――委ねてくれている。
それが、今の俺には、重い…けれど安心に結び付く。
けれど、触れるたび、自分の中の理性が、静かに崩れていくのが分かる。
痕を残すな。余白を残せ。ずっと守ってきたルールが、こんな時まで俺を縛る。
手を離し、絢聖の脚の間に移動する。その蕾に舌を這わせる。
「ひゃあっ…」
みっともない、上半身を愛撫する余裕もない。
――やめろ。こんなやり方じゃ、駄目だ。
――だが、早く繋がりたい。
そこを、しつこいぐらい丹念に舐める。長く愛してきた絢聖の身体は、すぐに蕾を開かせる。
「……きたなっ…いや」
「今更だろ…ほら」
舌を中に入れ、弾力のある場所に舌を押し付ける。絢聖はもうここだけで達っせる。
「やだぁっ…悠、いや、だめだめ…」
言葉を無視して愛撫を続ける。拒否る割には、腰が揺れている。
その思わせぶりな態度が苛つきを煽る。絢聖が達する寸前で、口を離す。
物欲しそうな絢聖と視線が合う。大丈夫…まだ、俺は絢聖を満たせる。
「後ろ向いて」
「えっ…やだ、恥ずかしい」
正面から愛し合うばかりだったから、抵抗があるのだろう。すごい渋る。それが、拒絶に感じてしまうくらい、俺は追い詰まっている。
「おしり見せて…深くまで入れたい」
しぶしぶ絢聖が尻を上げる。背中をしならせるように双丘を突き出す姿に無意識な媚を感じる。
どこで覚えたのかと…問い詰めたくなる。
「悪い…余裕ない」
「――――!!」
やわらかい丘をしっかりと掴み、一気に自分の禍々しいそれを奥まで埋め込む。
休む暇を与えず、ひたすらに奥を何度も狙い抜き差しする。
「やっ、やっ、あ、あ」
絢聖の奥底を知るのは俺だけ…それを確認するように何度も穿つ。
「っ…ひくっ…漏れちゃう…」
前立腺と底を容赦なく刺激され、泣きじゃくりながらあえぐ絢聖の訴えを聞き入れられない。
「いいよ…潮吹け…楽になるから」
「いや…だめだめだめ……」
透明の液体をこぼしながら、なかを痙攣させる絢聖に俺も追い詰められる。
「………っ!出すぞ」
「ああ――――!」
中に、大量の白濁を注ぎ込み、一滴残らず刷り込んでから、茎を抜く。
絢聖も、俺の精液を感じ、達していた。求められることを糧にする絢聖。
こいつといると、俺はいつか吸い付くされる。
俺はその夜、挿入に執着した。何度も体位を変え、より深く繋がった。全てを塗り替えるために。それでも、焦りだけがはっきり残っていた。
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