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幼い太陽の花は、雨の雫を。

神々が棲む世界で一際、目立つのが七人だった。光の反射で炎色にも見える髪を、ゆらゆら揺らして、あどけない笑みが絶えなかった。 将来を約束された次期ミカエル。 そんなミカエルを平気で踵落としする麗しきウリエル。 穏やかな光景だと、神々は口を揃えて言っていた。そう、ミカエルの母親が亡くなるまでは。 「聞いたか、あの方が魔族の闘争に巻き込まれた人間を助ける為に命を捨てたと…」 「は、馬鹿っ!大きな声で叫ぶな。ミカエル様の耳に入ったら」 慌てる家臣達を横目に、幼いウリエルは『馬鹿馬鹿しい』と思った。 ミカエルの母親は、穏やかな性格の持ち主で、常に周りを和ませる女神だった。 魔族との闘いが勃発しても、そこに太陽の花を咲かせる様な人。 人間を助ける事が本望だと言っても過言ではない。 皆が悲しむ理由も解る。だが、一番悲しいのは心から慕っていた母親を亡くしたミカエル自身。 平然を装いながらも、泣くのを我慢している様子は一目瞭然。 『大丈夫だよ。母様が亡くなったて…私は一人で生きていけます…』 馬鹿も休み休みに言って欲しい。 昔から世話が焼けるのは、元からだ。 『彼女が亡くなった理由を即、調べて下さいませ。これは、神王の娘である私の命令です!幼いからと言って、政治に関わってはいけないという掟はありませんわよね』 ふっと、耳に入った姫の科白に、ウリエルは、疑問を覚える。しかし、明らかになっていない事に、首を突っ込むのは掟破りだ。 これはあくまで、仕えている姫の管轄という事を弁えないといけない。 ただ、今回は、突然だった。 『魔族』との争いに、皆がてんやわんやいしている中で起きた出来事。 しかも、大天使であり、智天使でもあるミカエルの母親は、和みの象徴でもあったのを彼は知っている上に、色々と教えてもらった相手。

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