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何が大丈夫なものか…。 瞳に沢山、涙を溜めて吐く科白ではないと解れば良いのに。天然な幼なじみなに求めたって、無理だろう。 「ウリエル、大変!」 「…どうしました?ハニエル」 「ミカエルが…」 自分を探しに来たのだろう。 途中、言葉を詰まらせたハニエルは苦い表情を浮かべる。 「ずっと、我慢してたのでしょう。今日ぐらいは…泣かせてあげてもバチは当たりませんよ。まだ、幼い太陽なんです、彼は。強がったって無意味という意味を理解してないのですから」 「―…まぁ、間違ってはいないんだけど。その、ミカエルが泣いているのはルシファが原因で…」 「はぁ?」 思わぬ発言に間抜けな顔をしたウリエル。 「『俺がソナタの母親の分まで、沢山愛情を注いでやる。だから、悲しい表情をせず、笑っていて欲しい…。太陽の花みたいな笑顔を絶やさないでくれ!』って、直球な告白を投げたのよ。聞いていたガブリエルは、唖然としているし、ラグエルなんか肩を震わせていたのよ?」 「悲しみを背負って、強く生きていこうと覚悟を決めた子に捧げる科白じゃないと思うんですが」 「…ルシファなりの慰めだとは思うのよ…。ミカエルのお母様は、笑顔を絶やさない女神だったから。太陽の如く、燦々と輝いていたから…」 掛ける言葉を明らかに間違えていると心の中で悪態を付きながら、ウリエルは窓の外を見た。 燦々と輝く太陽は雲に隠れ、恵みの雨をもたらしているが。 唯一、失わず輝いている幼い太陽が雨の雫に打たれ泣きじゃくっている姿。 あいゆう光景も今日限定なんだろう。 明日になれば、何時も振り撒いている顔へと戻っているに違いない。 だけど、彼は密かに後で、従兄を説教しようと決めた。 格好付けるのは良いが、プロポーズは、せめて、初七日を過ぎてからでも遅くは無いと思ったのは内緒だ。

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