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「俊我さんって誰?」 開口一番にそう訊ねてきた。 「あ、えっと⋯⋯。人違いでした⋯⋯。すみません⋯⋯」 「今カレとはどんなプレイをしているわけ?」 「今⋯⋯カレ⋯⋯?」 「どんなプレイをしてんの?」 「え⋯⋯えぇ⋯と⋯⋯」 俊我のことを「今カレ」と言い、その「今カレ」とどんなプレイをしているのか。 他の人の名前を呼んだことで手を上げられるかと思っていたものだから拍子抜けをしていた。 今回の客はそういう主旨のものか。 俊我とはプレイどころか、身体を重ね合うこともしたことがない。 だから、何もしてないから言えない。 しかしそれで客が納得するはずがない。 だとしたら、今まで相手としたことを挙げればひとまず事は収まる。 急かされ、高まる緊張で落ち着きが欠けてしまいそうな自分を何とか落ち着かせようとしつつ思い返そうとした。 「なに? 言えないほどの恥ずかしいプレイをしてんの?」 「⋯⋯そ、そういうことではないんですけど⋯⋯」 「じゃあ言えよ」 恫喝的な声で言われ、一瞬にして頭が真っ白になった。 そんな言い方をされたら何も言えなくなる。だが、何かを言わないとさらに輪をかけて怒声を上げてくる。 落ち着きなさそうに視線をさ迷わせ、何も考えられない頭で今までされてきたことを必死になって思い出そうとしているとあるところに目が入った。 「⋯⋯ネ、ネクタイで両手を縛ってます⋯⋯」 「へぇー⋯そう」 相手の顔色を伺うように振り絞る声で言うと、意外だと言いたげに眉を上げ、されど口元を歪ませて、しゅると緩めたネクタイを手に取り、一歩一歩近づいていく。 口にしてしまったこれからすることに、不敵な笑みをする客も相まって言いしれない恐怖を感じた愛賀は近づく度に後退った。

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