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第11話 再度解剖の実習室で

 二人で食材を買ってから、海斗のマンションに戻った。 「海斗、教科書を見せてよ」 数冊を出してくれた。 眼鏡をかけると―― 「あっ! 見える……!」 「どれどれ、俺にも貸してよ」 海斗が眼鏡をかけて教科書を見た。 「えーーーー??? 何だこりゃ!」 教科書をどんどんめくりながら驚いている。 「とおる、これがあれば試験もいけるな?」 「ふふ、まだ分かんないよ。何があるか分かんないもん」 「でも海斗、解剖時間はどうするんだよ?」 「そうだった……」 俺たちはおばさんを大声で呼んだ。 「おばさーーーーん、助けてー!」 これを5回くらい叫び続けると―― 天使「ほい、来た! うるさいわねえ~」 やっとおばさんが出てきた。 「おばさん、俺、解剖室で霊たちが全員俺を見て失神しちゃったんだよ。 どうしたらいい? 必須の授業なんだって」 天使「あ、あれね。ふふふ……」 「なんだよ、その笑い」 天使「ちょっと!内臓はダメよ!私だって前世で見たことないわよ。 だから逃げてたのよ。がははは!」 俺は愕然とした。くそーー!! 天使「あれはさ、向こうもびっくりしたんだよ。霊が見える人って滅多にいないからさ。 今度は教室に入る前に、外で肩に塩をかけて拝んでから入るといいよ。 そしたら見えなくなるよ」 「うん、わかったよ。ありがとう」 天使「ああ~それにしてもイケメンだねえ~。ここで拝んでいってもいいかな?」 俺の顎に手をかけて、まじまじと顔を見てくる。 これくらい、どうってことない。 「いいよ、いくらでも見てよ。その代わり、これ見て。この眼鏡すごいんだよ」 眼鏡を貸すと、おばさんはそれをかけた。 「ハイテクねぇ。前世の私はガラケーだったわよ」 海斗におばさんの発言を教えてやった。 漠然と会話を聞いていたが、何か言いたそうだ。 眼鏡を触りまくっていたおばさんが一言、 天使「あのさ、これ誰がくれたの?」 おばさん、鋭いな……。 「これは海斗の親父さんなんだ。一条総合病院の院長なんだよ。ね?」 天使「え? まさか、あそこの息子なの?」 「海斗、おばさんが驚いてるよ。“あそこの病院の息子か”って聞いてる」 「はい、そうですけど……それが何か?」 天使「あ、はあ~ん……なるほどね。 詳しくは言えないけど、大捜索網がかかってるわね」 「どういうこと?」 天使「いいからいいから。じゃね」 スーッと消えてしまった。 ……何だったんだろう? そのあと、明日の授業のあらましを海斗からレクチャーされた。 めちゃめちゃ難しいじゃん。 全部分からない。 でも眼鏡をかけて教科書を見ると―― 「ああ~どうなってるんだ? ポイントが出てきたよ」 海斗がむふふふと笑った。 「とりあえずさ、これ掛けて授業に出てよ。最高じゃん」 そして翌日の解剖の時間。 塩をいっぱい持って行った。 よ~く拝んでから、ドアをそっと開けてみた。 ……あら、学生の姿しか見えなかった。 ハーーーーッ。 これだけで背中に汗がたらたら流れた。 「俺さ、記録係になるね!」 海斗に教わったとおりに宣言した。 海斗は皆の会話や内容をイヤホンで聞いているはずだ。 俺の胸ポケットにはカメラと録音機が作動中。 そして無事に、解剖の実習を終えた。 外に出たら、足ががくがく震えていた。 海斗が来て、 「お前よく頑張ったな。ありがとうな」 と俺の両手を握りしめた。

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