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第13話 不調
翌朝、俺は疲れすぎていて全く起きられなかった。
どうしよう……悩んだところで動けないものはしょうがない。
ところが、鬼がいた。
「なあ、とおる、頼むよ。教室にだけは行ってくれよ。
俺さ、外で待ってるからさ。
倒れるなら教授の前で倒れてくれないと認めてくれないんだよ。
ホントこの通りだから頼む!!」
くそー! 俺を何だと思ってる?
怠くてしんどいのに、海斗に起こされ、着替えさせられた。
そして車で校舎のそばまで連れていかれ、とうとう教室の椅子に座らされた。
「な! 机に突っ伏してもいいし、床に倒れてもいいからさ、頼むよ!!」
言いたいことだけ言って、海斗は教室を出ていった。
俺はヤツの望み通り机に突っ伏した。
もう頭を起こすこともできなかった。
みんなが集まってきた頃――
「教授、一条の様子が変なんですけど……」
教授が俺のそばに来て、額に手を当てた。
「悪いけどね、この子、高熱だから医務室に運んでやってくれないか?」
誰かが持ってきてくれた車いすで、俺は医務室に運ばれた。
医務室には医師がいて、診察してくれた。
俺は無事にベッドに横になり、点滴をされた。
ふと横を見ると、海斗がニヤッとしてVサインをしていた。
コノヤロー……と思ったが、その反応すらできないほどバテていた。
夕方になり、嫌でも帰らなくてはいけなくなった。
医師が診断書を書いて事務室に送信してくれた。
「君ね、あと3日は休んでないとダメだよ。いいね?」
海斗でも言わないような優しい言葉に、思わず涙が出そうになった。
くそ海斗め! 聞いたか?
その日は海斗が車いすで車に運び、俺は無事にマンションで休むことができた。
ああ~、もう辛すぎる……。
絶対に頭の使いすぎ、キャパオーバーだ。
その後は堂々とあと二日は大学を休めた。
そして3日目の朝。
「とおる、頼むから起きてくれよ。今日も必須の授業があるんだよ。頼むよ~」
地獄の底から這い出てきたような声で言われた。
俺は卒業や就職のために、こんなに頑張らないといけないのか?
田舎に帰りたい。心からそう思った。
もう“奇跡”なんてどうでもいい。
俺がうつろな目をしていたのかもしれない。
海斗が俺の上半身を起こして、抱きしめた。
何も言わず、ただただ抱きしめた。
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