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第16話 白い車に狙われて
海斗が買い物を終えて車に戻ってきた。
「海斗、あのね……顔を下に向けたまま聞いて。
ほら、駐車場の奥。
白い車、見える? あれ、ずっとこっちを睨んでる。
絶対、俺たちを狙ってる。
車を出すの、ちょっと待たない?」
海斗はそっと視線だけ動かし、
コンビニの建物を挟んだ向こう側の“奥の列”を見た。
そこには、
こちらの車を真正面に捉える位置で停まっている白い車。
「え? あれ?
なんでそんなことがわかるの?」
「分からないけど……嫌な予感しかしないんだよ」
「……わかった。信じるよ」
二人で車の中で食べていたが、
白い車は微動だにせず、
フロントガラス越しにこちらを射抜くように見ていた。
こっちが動かないと、向こうも動かない。
完全に“待ち伏せ”だ。
どうしよう……。
「海斗、お父さんに電話して。
それで俺に渡して」
海斗が電話をかけ、すぐにつながった。
「お父さんですか? とおるです。
今コンビニの駐車場にいるんですけど……
奥の白い車の人が、ずっとこっちを見てて……
狙われてる気がします」
「ああ……そうか。
それは間違いなく狙ってるな。
まず、そこから動かないことだ。
今、誰かを向かわせるから待っていなさい」
電話が切れた。
「お父さんが助けを呼んでくれるって」
「へえ……やっぱりヤバいのか……」
20分ほどして、
駐車場の入口から黒い車がゆっくり入ってきた。
父から再び電話。
「今、黒い車が見えたと思う。
白い車の“前”を塞ぐように動くから、
その隙にすぐ出なさい」
「はい、分かりました」
その瞬間だった。
黒い車が、
白い車の“進行方向を完全に塞ぐ角度”で急加速し、
白い車の前に横から滑り込んだ。
ガシャーン!!
白い車は逃げ道を失い、
黒い車に押し込まれる形で前を塞がれた。
「海斗、今だ! 出して!」
「わ、わかった!」
海斗はアクセルを踏み、
白い車の“死角”を通るようにして駐車場を抜けた。
白い車は黒い車に塞がれて動けない。
その隙に俺たちは道路へ飛び出し、
一気にマンションへ向かった。
マンションに着いた瞬間、
二人で大きく息を吐いた。
「はぁ~怖かった……。
あの黒い車、お父さんが出してくれたヘルプなんだよ」
「そうなの?
じゃあ、わざと塞いだってこと?」
「うん。
もし俺たちが先に動いてたら、
絶対追いかけられてた。
途中でぶつけられてたかもしれないよ」
海斗は頭を抱えた。
「ああ~もう俺、怖いよ~」
ここでなんとか気分を変えないと駄目だな。
「じゃあ、夕飯でも作ろうか?」
「え? 身体はもう大丈夫なの?」
「あれ……? 本当だ。
なんでだろう……なんともない……」
身体が軽い。
さっきまでの重さが嘘みたいだ。
不思議だ。
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