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第17話 学友たちのループ

 その夜から海斗は、自分のベッドに俺を一緒に寝かせるようになった。 ベッドはダブルだから狭くはない。 ……ないはずなのに、どうしても身体が密着してしまう。 しかも海斗は、俺を抱き寄せるように腕を回して眠るようになった。 これ、俺がヒートでも始まったらどうするつもりなんだよ。 もう知らねえぞ。 翌日、大学に行った。 身体はもう何ともなかった。 なんでだ? 本当に不思議だ。 ペンダントのお陰なのか……? いや、そんなこと分かるわけない。 今日は朝一から内科系の総集編。 もうすぐ期末試験らしい。 聞きたくなかったけど、落ちたら留年だと言うから仕方ない。 教室に近づくと、声を掛けられた。 「よう海斗、おはよう~。この前の化学の数式のポイント、いつ説明してくれるんだよ? もうすぐ期末試験だぜ」 その瞬間、眼鏡にテロップが出た。 《そいつは祐介》 祐介は笑っている……はずなのに、 目が笑っていなかった。 「ああ……祐介。悪いな。忙しくってさ……」 次に別のやつが近づいてきた。 「最近冷たいんじゃないか? 昼飯にも来ないしさ。俺たちを避けてるのか?」 声のトーンが低い。背筋がぞくっとした。 眼鏡にテロップ。 《今のは洋一》 「ああ、洋一、悪いねえ~。気にはなってるんだけどさ、時間が取れないんだよ。無理。教科書見てよ」 俺は適当に言った。 すると今度は派手な女の子が、 ガシッと俺の腕に絡みついてきた。 「あらまあ~海斗君じゃない? あなた優秀なんだからノート貸してよ。お昼ご馳走するからさ」 眼鏡にテロップ。 《そいつはひなこ。気を付けろ》 ひなこの手が、氷みたいに冷たかった。 そして逃げ道を塞ぐように取り囲まれて密着された。 「悪りい、ちょっと腹が痛いからトイレ行ってくるわ!」 俺はひなこの腕を振り払い、祐介たちにぶつかって隙間から逃げるようにトイレへ走った。 個室に入ると、 胸元のペンダントが―― 脈打つように、ぴかぴか光っていた。 「なんだよ……これ……」 その時、外から海斗の声がした。 「おい、とおる、大丈夫か?」 声が一瞬だけ遠く聞こえた。 まるで、空気が歪んだみたいに。 俺は思わずドアを開け、海斗を引き込んで鍵をかけた。 「どうしたんだよ? 本当に腹痛いのか?」 「違うよ。危機だから逃げたんだよ。ほら見て。ペンダントが光ったんだ」 海斗に見せた瞬間―― 光は消えた。 「……あれ? さっきは脈打つみたいに光ってたんだよ」 海斗はしばらく考え込んだ。 「あのさ……それ、危険を知らせる信号じゃないのか?」 「え……そうなのか?」 「うん、きっとそうだよ。俺たち、なんかに狙われてるんじゃないか?」 「怖いこと言うなよ……でも、そうとしか思えないな」 「ねえ、とおる。あいつらさ、普段からあんな感じなの?」 「いや……おかしいんだよね。 いつもはあそこまでしつこく絡んでこない。 みんな自分のことで必死だからさ。 だから俺も焦ったんだよ」 「とにかく教授が来るから、教室戻るわ」 「うん。頼むね。でもペンダントはしょっちゅう見てた方がいいぞ」 「わかった。そうする」 ……今度は授業中が怖い。

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