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第18話 期末試験の嵐 

夏休み前の医大3年生は、地獄のような科目の嵐になるらしい。 海斗がそう言うから、もう覚悟を決めるしかなかった。 どれも落とせば留年。 俺たちはさらに連係プレーを強化する必要があった。 今日は循環器内科。 レポート+筆記+口頭試問のフルセットだ。 レポートは海斗が家で必死に書いている。 筆記と口頭試問は、ほぼAI眼鏡頼り。 問題を眼鏡で見ると、 青く反転した部分が重要。 赤く反転した部分は、限りなく答えに近い。 海斗はそれを瞬時に判断して答えていく。 本当に頭の回転が速い。 俺には到底真似できない。 口頭試問は、海斗が眼鏡を通して聞き取り、 答えがテロップで流れてくる。 俺は「ええっと……」とか「うーん……」とか、 わざと間延びした声で時間を稼ぎ、 流れてきたテロップを読み上げる。 この方法で、なんとか14科目の レポート+筆記+口頭試問をクリアした。 ただ、画像診断だけは本当に困った。 「そこのそれ……とか、右のあれ……とか、指させないから困る」 分かりやすいものはテロップで出るが、 細かい影や微妙な濃淡はお手上げだった。 それでも海斗の勘が冴えて、ギリギリ合格点をもらえた。 例の絡みつく学生たちも、試験となれば皆必死で、 人に絡む暇はないようだった。 もしかしたら、 ペンダントを服の上に出したせいかもしれない。 邪気を寄せ付けないために、あえて見えるようにした。 「とおる、今日はどこで飯食べる?」 「今日は車の中で良くねえ?」 俺たちは“しっぽを掴まれないように”、 昼飯の場所を毎回変えていた。 ある時は屋上。 ある時は物置。 ある時は車の中。 ある時は部室の裏。 嫌な気を感じる場所は即却下。 そういう場所は、大学のあちこちにあった。 危ない危ない。 そんな感じで転々とした。 俺の身体は不思議だ。 授業を受けていると、 内容がすんなり頭に入るようになっていた。 海斗が答える前に、 「あ、これ分かる」と思うことも増えていた。 俺の頭、どうなってるんだ? 多分、この薄紫色の水晶みたいな石のお陰だ。 急に頭が良くなるなんて、普通ありえない。 今日も大量の試験を受けて、 さすがに頭が疲れた。 海斗も同じだ。 「早く帰ろうぜ。帰りにスーパー寄ろうよ」 「うん、わかった」 海斗も疲れ切っていた。 スーパーに着くと、 「買い物してる間、車で寝てていいよ」 そう言って海斗は車に残った。 10分ほどして、携帯が鳴った。 「助けて……熱い……死にそうだ……車から出られない……」 俺は買い物かごを放り出し、 全力で車へ走った。

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