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第26話 色っぽい布団
本館に戻ると、ロビーに湯上り用の無料アイスキャンディがあった。
思いっきり汗を出した俺達は、控えめに2種類ずつもらって部屋に持ち帰った。
遠くの海を見ながらアイスキャンディ。
部屋はエアコンが利いて涼しいし、
ここは天国だなって俺には思えた。
でも親には言えないな。
親は俺の私立の学費や東京での生活費の為にせっせと働いてるからさ。
俺も早く仕事を始めて親孝行をしないといけない。
その後、夕食は部屋食だった。
座卓いっぱいに並べられた豪華な料理に、舟盛の刺身の数々、サザエ、アワビ、伊勢海老も入っていた。
そして、でーんと金目鯛の姿煮が出ていた。これも凄い。
「これ、全部食べられるかな?」
思わず聞いた。どれも超旨そうだ。
「海斗、ご馳走が凄すぎてもう言葉が出ないよ。本当にありがとうね」
「良いよ、もう言うなよ。美味しそうだね、いっぱい食べようよ」
それから、二人でたらふく食べた。
もうお腹がはちきれそうになって、最後は二人ともお腹をさすっていた。
お座敷だから、奥の部屋にはもう布団が二組、くっ付けるように敷いてあった。
難しい敷き方をしたんだなと内心思った。
「なんだか色っぽいよな」と布団を見て素直な感想を海斗に言うと、
「はっ、俺だってそう思ったさ」
「でも相手が俺じゃあ、色っぽくないから悪いね」
一応謝っておいた。
「なんでそんなこと言うんだよ。いつだって一緒に寝てるだろう?」
「うん、そうなんだけどさ、それなのに色っぽくないもんね」
そうだ、俺達はいつも抱き合って寝ている。
「だって相手は俺だぜ?無理だろ」
「それは俺だって同じだよ。自分にキスするなんてどう考えても無理だよ」
悲しいながら、意見が一致してしまった。
「ビールも飲んだしさ、もう眠くなったから寝ないか?」と海斗。
「うん、そうしよう」
こういう意見はすぐ一致する俺達。
くっつき気味の布団を、更にピタッとくっ付けてから、いつものように抱き合って眠った。
なんでこんな広い所に来て、ゆっくりと寝ないんだろう?と少しは思った。
でも顔を見れば俺だもん。
自分にキスできるか?
やっぱり無理なんだよね。
海斗は俺のほっぺにはしょっちゅうキスをするけど、唇にしたことはない。
ああ~マジ、俺じゃ色っぽくないよな。
そしていつものように腕枕をされて、ふかふかの布団でくっついて眠った。
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