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第36話 愛があふれて*
帰りに駅前のスーパーで食料品の買い物をした。
そしてマンションに戻った。
玄関に入ると荷物を放り投げて、二人で壁の鏡に映った姿を確かめた。
「ね、確かに元に戻ってるよね?」
俺は確認せずにはいられなかった。
「うん。間違いない。戻ったね。今度はできるよ」
「え? なにが……?」
いきなり海斗にぎゅっと抱きしめられ、
初めて唇にキスをされた。
唇が柔らかくて、温かい。
舌が入って来て俺のと絡んだ。
「ふ、ふ、‥‥‥」
夢中になってキスを続けた。
キスってこんなに気持ちいいんだ‥‥‥、頭がぐらぐらした。
「あ、ダメだ。先に風呂に入ろう」
海斗が言いだして、俺をはぎ取るよう離した。
「わかった。冷凍品を片づけるよ」
片付けたら海斗が迎えに来た。
手を引かれて風呂場に行く。
なんだか海斗が強引な気がする。
でもちょっとうれしいかな。
そしてさっさと服を脱いだ海斗が俺の服も脱がせた。
浴室に入ると、お互いの身体を洗い合った。
湯船に入ると、海斗が俺を抱えてくれる。
ここでも海斗が俺の顔を振り向かせて、何回もキスを交わした。
ちゅっとリップ音が浴室に響く。
「今度は分かる?」
腰をつんつんされた。
「うふっ‥‥‥知らないし‥‥‥」
なんかお尻に当たってた。
今までこんなことなかったのに‥‥‥不思議。
美しい海斗の顔をそばで見られて本当に嬉しい。
こうでなくちゃあ~。
「もう、俺、限界。行くぞ」
風呂を出てお互いの身体を拭いた。
海斗に手を引かれそのままベッドの連れていかれた。
「海斗......」
「ダメ、何も言うな」
そしてベッドの中で猛烈に愛された。
何も考えられないくらい、海斗で俺がいっぱいになった。
愛おしくて愛おしくて、何回も何回も海斗に抱かれた。
***
そして丸3日間、うつらうつらしながらベッドの中で過ごし、
抱かれたり、疲れて眠ったり……
そんな夢のような時間が続いた。
でも3日目になると、頭のどこかに小さな芽のようなものが生まれてきた。
――そうだ、このままじゃ海斗がダメになる。
そんな気がした。
もう一緒にいる理由もなくなったんだし……。
これからもっともっと国家試験の勉強をしなくてはいけないのに、
ベッドにいる時間なんて邪魔なだけだよな……。
そうだ、そうしよう。
海斗が勉強に打ち込むなら、
俺だって必死に勉強しなくてはいけない。
海斗にふさわしい俺にならなくては。
それに、コネ入社なんだから、
お父さんに恥をかかせないようにしないといけない。
むくむくと、そんな気持ちが湧いてきた。
海斗になんて言おう……。
言葉が見つからないまま、そっとベッドを抜け出して自分の部屋に行った。
荷物を片付けよう。
ここを出ていこう。
スーツケースに服を入れた。
そして勉強道具をまとめ始めた時、ドアが開いた。
「お前、何してる?」
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