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第41話 海斗サイド・見切り品
とおるがいなくなってから、俺は本当にやる気を失った。
寂しくて寂しくて、どうしていいか分からない。
勉強しようとするけど、どうしても思い出してしまい集中できなかった。
しかし、2学期が始まったら、それどころではなくなった。
授業がどんどん押し寄せてきて、
だんだんとおるを思い出す時間がなくなる。
嫌気がさす。
そんな時に父から電話があった。
「お前は一体何をしているんだ? とおる君は必死で勉強してるぞ。ガチャ」
ふっ、それで切れてしまった。
全く……監視カメラでも見てるのかよ?
どうしても寂しい……。
大学の帰りに、とおるが降りる駅で待ち伏せした。
多分6限までは受けてると思うから、それから駅に来る時間を予想した。
そして、とおるが改札から出てきた。
なんだか顔色が悪いような気がした。
疲れてるのかな?
声を掛けて抱きしめたかった。
とおるとキスをしたい。
最後に抱いた夜が目の前にちらつく。
抱きたい。
でもとおるは、そのままスーパーに行った。
棚の陰から見守った。
どうも見切り品を探しているようだ。
相変わらず節約してるんだなあ。
貧乏だと言っていた。
なんだかいじらしくなって涙が出そうだった。
でもとおるは、3品ほど見切り品を見つけてレジに行った。
それからアパートに帰る、とおるの後を追いかけた。
訳あり物件だと言ったんだけど、バレてないかな?
本当は9万の物件だ。
不動産屋に内緒にしてくれるように頼んだから大丈夫かな。
まあ心配してもしょうがない。
ちゃんと生活しているかが心配だ。
___いや、本当はそうじゃない……俺の方がダメになっている。
立ち直れない。いつになったら慣れるんだ。
早く勉強に集中しないといけないのに、
そのために、とおるが出て行ったのに、俺は一体何をやっている。
なんだか涙が滲んできた。
会いたい。
電柱の陰で泣いた。
*
その後、マンションに帰ってきた。
スーパーで買ってきた半額の弁当。
なんだか買ってしまった。
今までは見切り品なんて目に入らなかったし買ったことがない。
でも今日は買った。
そして、とおるを想った。
これを食べて、今夜はちゃんと勉強しよう。
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