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第45話 図書館で目撃
医大の図書館は驚くほど参考になる資料が揃っていて、動画まであった。
よし、通うぞ。良かったあ~。
俺はマジでいい大学に入ったなと思った。
帰宅すると、通信教育の教科書が届いていた。
わ~、眺めるだけで楽しい。
これが毎日の仕事になるんだ。うれしい。
就活をしなくていいって、どれだけありがたいんだよ。
本当に海斗とお父さんに感謝だ。
三年の授業は、なるべく前半に固めて、後半はゆっくりにした。
自分の身体も考えないといけない。
俺はオメガだから、身体が丈夫じゃない。
無理するとすぐ寝込む。要注意だ。
せっかく教科書が届いたから、今夜はこれを眺めよう。
そこへ、
天使「ほい、来たー!」
「おばさん、何しに来たの?今来てもイケメンは見られないよ」
天使「そうだよ。私ちゃんと見てたからね。
とおるちゃんが泣いてたから、おばさんも泣いちゃって、声が掛けられなかったよ」
「ふふ、もういいんだよ。過ぎたことだから」
おばさんも優しいんだな。
「おばさんは海斗のところへは行けるの?」
天使「うん、たまに覗きに行くよ」
「どんな様子なの?勉強してる?」
天使「うん、ハチマキして必死で勉強してるよ」
「ハチマキ?あのスタイリッシュな海斗が?」
天使「そうだよ。人間変わるもんだよね。あれもとおるちゃんのために頑張ってるんだよ」
「そうなんだ……海斗も頑張ってるんだ……」
また涙が出そうになった。
「じゃあ、おばさん、俺勉強するから。またね」
天使「へ~い、お休み~」
バシッと消えた。
*
翌日、授業が終わって、また医大の図書館に向かった。
今日は通信教育の教科書も持ってきたから、参考になりそうなものを探すつもりだ。
図書館の方向へ歩いていたら、前の方に見慣れた背の高い人の後ろ姿があった。
でも髪が金髪から黒に染められている。
とっさに建物の陰に隠れた。
海斗も図書館に行くんだ。
そりゃそうだよな。医大の図書館だ。
俺の方が専門外なんだもん。
少しだけ顔を出して姿を追った。
でもすぐに入り口から中に入っていった。
……俺、どうしよう。
少し待った方がいいのかな?
それとも帰った方がいいのかな?
時間がもったいない。
ぐずぐずと決められなかった。
そして、そっと覗くと、海斗が本を抱えて友達と並んで、反対方向へ歩いていくのが見えた。
よし、これで中に入れる。
まさか戻ってきたりはしないだろう。
大急ぎで図書館に入った。
今日は医療事務の動画を見ないといけない。
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