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第57話 レクチャー続き
昼食をはさんで、午後は医療事務の流れについて説明があった。
この人が課長で、係長で、レセプトの責任者は誰それで……という話。
なんだかよく分からない。
あと、患者が病院の玄関から入って、どういう手続きをして診察へ進むか、とか。
俺は医療事務だけ勉強したから流れは分かるんだけど、
やり方は病院によって結構違うんだろうなあ。
俺も大学病院に入院したから、なんとなく分かる気がした。
ところで、医療事務の話はいつなんだろう?と思った。
それから履歴書を渡すことになっていた。
菅野さんはそれを写真に撮って院長に送ると言い、その場で送っていた。
大学卒業予定とは書いたけど、卒業できるかどうかは知らない。
どうにでもなれ、と思った。
今さらどうしようもないんだもん。
そして、いよいよ医療事務の話になった。
レセ認の資格勉強を思い出すような、細かい質問をされた。
でもどれも勉強したことだから、全部答えられた。
ホッと胸をなでおろした。
菅野さんはメールを確認していたけど、
それで「もう終わります」とのことだった。
午後の三時過ぎには解放された。
こんなことでいいのかなあ?
もう分かんないよ。
そして二十日過ぎ、ようやく大学からメールが届いた。
卒論合格、卒業確定だ!!
ああ~もう。
部屋中で喜びの舞を踊って、ベッドにひっくり返った。
俺の壮絶な四年間が、すべて終わったんだ。
なんだか涙が滲んできた。
そしてひとしきり泣いた。
両親にメールした。
「俺、卒業できることになった。今までありがとう。
就職したら、毎月お金を送るね。
苦労をかけてごめんなさい。
五月の連休には帰るからね。
それまで元気でいてね」
そしたら、喜びの絵文字がいっぱい返ってきた。
“待ってるね!”だって。
またうれしくて泣いた。
そろそろ早いけど、引っ越しの準備でもしようかなあ?
わくわくして待ちきれなかった。
しばらく要らない本をひもでまとめて段ボールに入れた。
調理用具は、食事付きだから最小限でいいな。
洋服もあまりないけど、ヨレヨレしたのはもう処分だな。
――そうだ、思い出した!
海斗と初めて会った日、夜は引っ越しの準備をしたんだった。
二人で必死にやって、夕方から夜にかけて引っ越しの支度ができたんだよな。
懐かしい……。
海斗のタワーマンションはすごすぎて、腰が抜けそうになった。
ふっ、思い出した。
あの頃がよみがえってきて、少し笑った。
毎日が大変だった。
慣れない医学部の勉強……。
でもそれが医療事務の勉強にものすごく役に立った。
医大の三年生って全教科を網羅するから、
おかげで俺も少しは頭に入ったんだ。
海斗のおかげだね。
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