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第60話 新しい寮へ

俺は不動産屋さんにカギを返して出発した。 寮はアパートから車で1時間だ。 俺は電車で向かった。 病院は駅から徒歩3分の近さだ。 社員寮はその横の奥の方にあった。 寮に着くと、寮母さんが案内してくれた。 ご挨拶をして荷物を運んだ。 なんて素敵なんだ。 建物はまだ新しかった。 そして荷物をせっせと片付けた。 大雑把に片付けると、写真を撮りまくった。 外にも出て、病院や寮の建物の写真を撮って、すぐ両親に送った。 すると、すごーい!っていう絵文字をいっぱい送ってきた。 ああ~ベッドに横になってもうれしい。 カーテンはベージュの無地がもう付いていた。 アパートで使っていたのはもう要らないかな? どうしよう? 安いやつだから処分することにした。 お父さんからメールが届いた。 「明日の朝10時に院長室に来てくれ」 だって。 わー、院長室ってどこなんだろう? 早めに行って調べておかないと駄目だな。 その日の夕食は食堂に行った。 初めて会う人ばかりだから、ご挨拶だけはした。 調理の人にもご挨拶をした。 夕飯はすごく美味しそうだった。 今日はカレイの煮つけと和え物、肉団子2個、浅漬けと豆腐のみそ汁。 もう完璧じゃん!! それだけでルンルンだった。 そして食後は待望の大浴場に行った。 感動ものだった。 そんなに大きくはない。 でも洗い場が5つあった。 これは交替しながら入ればいいね。 大きな風呂は気持ちいいねえ~、最高だよ。 しかも風呂掃除をしないで済むんだよ。 ああ~もう感動に浸っていた。 なんて幸せなんだろう。 今までの苦労がすっ飛んだ。 そして部屋に戻り、再度レクチャーされたプリントを眺めた。 もう覚えたんだけど、明日から仕事だからね。 その夜は幸せを胸に抱いて眠りについた。 * 翌朝10時、院長室のドアをノックした。 「お早うございます。これからどうぞよろしくお願いします」 「ようやく来たな」 お父さんが歓迎してくれた。 そこには、この前レクチャーしてくれた菅野さんがいた。 「先日はお世話になりまして、ありがとうございました」 お父さんがムフフと笑っていた。 「知ってた? この人、この病院の人事兼総務部長だからね」 「え、そうだったんですか?」 めちゃ驚いた。 そんな偉い人だったんだ。 「まあ、座んなさい」 皆でソファに座った。 「今日から仕事をしてもらうんだけど、良いかな?」 「はい、もちろんです」 「それでね、葉月君の職場は隣の部屋ね」 「え?」 部長がそこで説明してくれた。 「葉月さんは、これから院長の専属の秘書になります。良いですか?」 なんと言っていいか分からなかった。 ポカンとしたが、あわてて「はい、かしこまりました」と返事をした。 ええ? でも分からないな……どういうことだ? 「びっくりした?」とお父さんに聞かれて、うなずいた。 「これはね、将来のための布石だから。期待してるよ。 大学に通っている間は本当によく頑張ったね。偉いよ。 海斗もあと1年で戻ってくるから、それまでは待っててね」 「はい。ありがとうございます」 胸に感動がいっぱい広がった。 あ、やばい。涙が滲みそうだ。 海斗の名前を出さないでよって思った。

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