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第62話 レセプトチェック

菅野部長から預かったレセプトは、ざっと二百枚くらいあった。 これは“特に要チェックの分だけ”を抽出したものらしい。 本当は、レセプトって一日に三千枚くらい出るんだって。 それを医事課と、あとは外部のレセプト点検会社にも頼んでるらしい。 ……そりゃそうだよね。 三千枚なんて、ひとりで見られるわけがない。 で、部長に言われたのは―― 俺に“医学的最終チェック担当”になってほしい、ってこと。 は? それ、期待しすぎじゃない……? だって俺は医者じゃないんだよ。 医者がやったことをチェックして、ミスを探すなんて……できると思う? おお~無理無理......。 そう思っていたら、チェックすべき項目のプリントを渡された。 外部委託が見るのは、 • 点数の漏れ • 算定ミス • 病名のつけ忘れ • 日付の矛盾 • 保険の適用可否 ……などの“事務的な部分”だけ。 外部は医学的な判断ってしないんだって。 ふ~ん、そうなんだ。 で、判断できなかったものは“要確認”として戻ってくる。 それを部長がチェックして、 “医学的に危険な可能性のあるものだけ”を俺に回す、という仕組み。 それが毎日二百枚くらい。 危険なものって……俺にできるの? いや、無理でしょうって思った。 で、具体的にどんなチェックをするかというと―― • 外部から戻ってきたレセプト • 危険な科(心臓・腎臓・糖尿・小児) • 複雑な病態の患者 • 禁忌薬 • 二重処方 • 病態と薬の矛盾 • 腎機能と薬の相性 • 小児の体重と薬の量 • 心不全にNSAIDs • 処方漏れ ……だって。 言うは易し、だよねえ。(笑) しかも、見つかったとしても、 その時点で患者さんはもう薬を飲み終わってる可能性が高い。 三日後とか、一週間後とか。 だから、未然に防げないケースも多いらしい。 でも、それでも意味があるんだって。 見つかったミスは“再発防止”として、 医者・看護師・薬局・医事課・院長……みんなで共有される。 だから俺には、 “病院の目になってほしい”と言われた。 ……できるかな。 でも、そういう役割なら、ボチボチやればいいか。 そのうち慣れて、できるようになるかもしれないし。 海斗が戻ってきたら、教えてもらえるかな。

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