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第69話 秘書室が台所に
結局、海斗の言いなりになっちゃった。
それにしても海斗って準備良すぎ。
散々抱いたあとは、カバンの中からいろんなものが出てきた。
タオル数枚、石鹸、シャンプー、リンス、ティッシュ、トイレットペーパー、
コップ、水のボトル、駅で買ったパン4個とおにぎり。
コーヒーのボトルに、サラダ、お箸まで。
手回し良すぎ!
「海斗、最初からベッドでずっと過ごすつもりだったの?」
「当たり前だろ? 何のためのベッドだよ。ここで過ごせって意味だろ?」
もう~恥ずかしいよ。
どこまで想像してんの?
なんだかちょっと悔しい……。
それに電気や水道は全部連絡済みだった。
やっぱり想像力が凄すぎ。全く……。
「それでさ、引っ越しは二人でやろう。俺のトラックが19日に来るからさ。もう大体まとめてあるから簡単」
「そうなの?」
俺はこんなに早く引っ越すことになるとは思わなかった。
「だからさ、先にとおるの荷物を運ぼうよ。俺、我慢できないんだ……」
――って、なによ~?
もう身体が爆発してんじゃん。
そのあとはお風呂に入ったり、ご飯を食べたりして、
残った時間はずっとベッドの中。
「海斗……俺もう引っ越し作業ができる自信がない。
だって怠いんだもん。海斗やってぇ~」と甘えた。
「おー、任せとけ!」
一言で決まった。
翌朝、寮に行って二人で荷物を片付けた。
そして午後にはもうトラックが来ちゃった。
なんて手回しがいいの?
もう夜逃げ? 夜じゃないけどさ……。
それにダンボールにポンポン放り投げるだけなんだもん。
これ、まとめるって言わないから。
しかも引っ越し屋さんも手伝ってくれた。
「あのさ、家電類は処分ね。俺のがあればいいだろ?」
「えー……勿体ないよ~。
あ、そうだ! ねえ、俺の秘書室にさ、
冷蔵庫や電子レンジを置いちゃ駄目かなあ?
トースターに電気ポットも置きたい。
小さな炊飯器も捨てられない。
あと、IHのコンロも1口だから、置いちゃ駄目?」
「そこで料理でもするつもりか?」
「う~ん、そういうわけでもないけどさ、なんかそばにあると安心でしょう?」
「ふう……」と海斗は大きなため息をついた。
そしてお父さんに電話してた。
そしたらOKだった。
笑ってたってさ。
そりゃ笑うよね。
秘書室+台所。えへへへ。
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