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第70話 ポイ捨て
海斗のおかげで、洗濯機は寮の部屋に置いとけば誰か使うよ、ということで捨てずに済んだ。
あー良かった。無駄にしないで済んだ。
あと、テレビは無駄にならないもんね。
とりあえず、将来の子供部屋に置いておくことにした。
俺のタンスも要らないって。処分だって。
造り付けがあるからだそうだ。
確かに揃ってた。
ウォークインクローゼットもあったしさ。
あれは相当入るよ。
結局、着替えと本類やアルバム。
もうそれだけになった。
だって海斗が全部新しく買えって言うんだもん。
俺の服もぽいぽい捨てられた。
「もう~、着るもんがないじゃん」
「今度二人で買い物に行って、俺が全部選んでやるよ」
そう言われたら、すぐその気になった。
じゃあ、全部捨てても良かったのに……。
もっと早く言ってよ。
俺ってお調子者?
秘書室には家電類を運んだし、
空間だらけのトラックには必要な物だけ乗せてマンションに着いた。
俺の物をざっと仕舞ったらもう終わり。
台所用品も要らないって。
なんで?
デザインが合わないから――なんて言っちゃってさ。失礼な。
でも買い直せと言うんだから、思いっきり高価なものを買ってやる。
すべての買い物は後回し。
そして二人で海斗のマンションに向かった。
海斗のマンションは家具類が多い。
リビングボードを運ぼうとしたけど、びくともしない。
「海斗、これ重いよ。どうしよう?」
「大丈夫だよ。全部引っ越し屋さんがやってくれるからさ」
「海斗、あとでこのマンションの掃除しとかないと駄目だから、それはいつにしようか?」
「はー、しない。プロに頼むから忘れろ」
「はい」
そういうわけで19日の午後にはトラックが来てくれて、
二時間後には全部マンションの部屋に収まった。
はあ~……ため息が出る。
マンションが素晴らしすぎて、ここに住めるのが信じられない。
まるで奥様じゃん。
片付けと連日の海斗のお誘いで身体がクタクタ。
でも食料品を買いに行かなくちゃいけない。
冷蔵庫の中がなんにもないよ。
そしたら海斗が誰かに聞いたらしいんだけど、
車でちょっと行ったところにすっごく美味しいインド料理の店があるんだって。
「行きた~い!!」
そういうわけで、もう店にいる。(笑)
この豪邸揃いの閑静な一角に、ちょっと不釣り合いなカジュアルな店がある。
半分店+半分テラス?
そのテラスをぐるっとビニールで覆ってロープで止めてあった。
カレーの香辛料の香りが凄くて、
駐車場で車から降りた途端、ぷんぷんとそこら中に漂っていた。
海斗はカレーが何種類かと大きなナンが付いたセット。
私はカレーピラフとナンとラッシー。
海斗もラッシーを頼んだ。
「ここのナンってさ、インド人がここで焼いてるんだって」
へえ~そうなんだ。
そして運ばれてきた。
ナンは長さが30cmはあって大きい。
食べたら、もう~惚れた。
なんてうまいの?
それよりもこのカレーピラフ。
どうやってこの素晴らしい香りを出すんだろう??
すっごく香りが高くておいしいの。
中にタンドリーチキンも刻んだのが入ってるから、それも美味しい~。
「ねえ、海斗。俺、毎週ここに来たい!」
「おー、良いぞ」
簡単に望みが叶う。
今までの俺の生活とは真逆の世界。
癖になったらどうしよう?
こんな生活、人間が変わってしまうような気がする。
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