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第77話 青いモクテル
しばらく部屋で過ごした後、海斗が言った。
「ビーチがすごくきれいなんだよ。散歩に行こうよ」
「うん、行きたい」
二人ともラフな半ズボンに着替えて、帽子もかぶった。
1階に降りてロビーからプールサイドに出た。
……なんというか、ここは俺がいちゃいけないような気がした。
大きな丸い青いプールのまわりに、白い長椅子がずらっと置かれている。
水着や白いバスタオルをかけてここに横になる。
そんな素敵なカップルのための場所なんだろうな。
でも海斗は俺と手を繋いでぐるっと回って、ビーチに降りられる階段を降りた。
そこには白い砂浜があった。
寄せては返す波。潮の香りがした。
「海斗、海が広いねえ~」
見渡す限りの海原が広がっていた。
なんかバカみたいなんだけど、素直な感想だった。
海斗はふふと笑っていた。
夕方なのにまだ蒸し暑くて、プールに入りたい人の気持ちが分かった。
「水着持ってくればよかったかな?」
「あるよ」
「え?」
「とおるの荷物に入れておいた」
「そうだったの? じゃあ、いつ入ろうか?」
「明日の夕方だね」
「はい」
それからスイートに泊まる人だけが使えるという、ラウンジに連れて行ってくれた。
そこにはバルコニー席があって、見渡す限りの絶景が見えた。
そして夕陽が美しかった。
俺たちはそこに座った。
海斗はずっと沖の夕陽を見つめていた。
なんて景色がいいんだろう。
俺はまさに王様になった気分がした。
「何か飲む?」
「ノンアルコールでお願いします」
海斗がなんか頼んでくれた。
そして運ばれてきたのは、青いドリンクだった。
上の方に真っ白いふわふわしたのが乗っかっていた。
美しすぎる。
「海斗、これなあに?」
「ふ、飲んでみ。モクテルって言うらしい。アレンジドリンクみたいだよ」
そっと飲んでみた。
「えーー? 爽やかで甘酸っぱくて、めちゃめちゃ美味しい」
「良かったな」
「うん」
喉が渇いてたから、一気に飲んでしまった。
「あ~、一気に飲んだの?」
「はい、ごめんなさい」
その後は部屋に戻って、夕食向けに少しおしゃれをした。
といっても、海斗の言うなりに着ただけ。
軽い夏向けの麻のジャケットを着た。
海斗はきれいな水色で、下は白いズボン。
俺は上下が生成りの色で、中が白いシャツ。
夕食はちょっと身なりを整えないと駄目なんだって。
1階のレストランにまた行った。
今度はフルコースの洋食なんだって。
俺が選ぶ心配がない。
なんでも海斗と同じにしてもらった。
前菜から始まって、最後のデザートまで勿体ないくらいだった。
新鮮な魚介類がいろいろ使われてて、
俺は前菜の盛り合わせと伊勢海老が一番良かった。
だって伊勢海老は西伊豆のホテルで食べて以来だった。
俺がパクパク食べてたから、海斗が笑って見てた。
もう~海斗も食べてよ。
でも海斗はゆったりと食べる。
悔しいから、俺も急にゆったりと食べることにした。
ライトアップされたプールの景色が、
テーブルからも見えて美しかった。
「海斗、こんな素敵なところに連れて来てくれてありがとうね」
「気に入ったか?」
「うん、最高だよ」
海斗も微笑んでいた。
*
その後は部屋に戻り、シャワーを浴びた。
いつものように海斗が丁寧に洗ってくれた。
洗ってくれる時の眼差しがいつもやさしい。
「海斗、俺を洗うのって面倒じゃない?」
「ん? 考えたことない。俺が触りたいだけだから」
「ふ~ん、そうなの? いつもありがとうね」
にやっとして俺の頭を撫でた。
ここのシャワー室は広い。
後ろ側に座れる場所まであるんだもん。
これって二人で浴びる想定なのかな?
うわ~誰が考えるんだよ。
またあのエロいバスタブが目の前にちらついた。
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