78 / 81
第78話 海斗サイド・夕陽のオレンジ色
昨夜はとおるを散々抱いた。
新婚旅行らしいよな。
俺は平気だけど、とおるはちょっと腰をさすっていた。
しょうがない。良くさすってやった。
今更遅いか、へへ。
そして夜中にエロっぽいバスタブにも一緒に入った。
俺の前にとおるを乗せて抱えた。
ああ~最高の気分だ。
潮騒の音を聞きながら、とおるに濃厚なキスをする。
そうやってベッドで過ごした。大満足。
*
翌朝、ちょっとボンヤリしているとおるを連れて朝食に行った。
1階のレストランだった。
色とりどりの料理が並んでいるのを見て、
またとおるが固まっていた。
とおるは贅沢を知らない。
この際、慣れてもらおう。
「料理を取ってあげようか?」
「はい、お願いします」
ふ、かわいいなあ。
こういう時のとおるは素直なんだよ。
どれもおいしくて大満足のようだ。
嬉しそうな顔をしていた。
食事を終えて車で出掛けた。
今日は美ら海水族館に行く。
めちゃくちゃ広いんだよ。
だから今日の予定はそれだけ。
とおるが嬉しそうに窓の外を見ていた。
その横顔があまりにも無防備で、つい笑ってしまった。
「今日は美ら海水族館に行くぞ」
「うん、行ってみたい!」
その返事が子どもみたいで、胸が温かくなった。
車を走らせていくと、海の色がどんどん濃くなっていく。
とおるは窓に張り付いて、景色をずっと見ていた。
こういうところが本当に可愛い。
1時間半ほどで駐車場に着いた。
「ここが……?」
「そう、美ら海水族館」
とおるが目を丸くしている。
広さに圧倒されているのがすぐ分かった。
「海斗、これ……全部水族館?」
「そうだよ。丸一日いてもいいくらいだよ」
手を引いて入口に向かった。
中に入ると、とおるは最初の熱帯魚の水槽で完全に固まった。
ガラスに顔がくっつきそうだ。
「海斗、見て! なんか光ってる!」
「うん、沖縄の海は本当にカラフルなんだよ」
とおるの目がキラキラしていて、
その横顔を見るだけで来てよかったと思った。
サンゴの海のエリアでは、
とおるが「海の中を歩いてるみたいだね」と言っていた。
その声が本当に嬉しそうで、胸がじんわりした。
そして、黒潮の海の大水槽に着いた。
とおるが息を呑んだのが分かった。
巨大なジンベエザメがゆっくりと泳いでいく。
その影が頭上を通るたび、とおるは俺の腕をぎゅっと掴んだ。
「海斗……でかい……」
「だろ? 世界最大級の水槽なんだよ」
とおるの手が震えていて、
その震えがなんだか愛しくて、そっと肩を抱いた。
しばらく二人で黙って水槽を見ていた。
とおるがこんなに静かになるのは珍しい。
イルカのラグーンでは、
とおるがイルカの動きに合わせて体を揺らしていた。
「海斗、イルカってかわいいね」
「うん。とおるもかわいいけどな」
言った瞬間、とおるが真っ赤になった。
その反応が見たくて言ったんだけど。
広い園内を歩いて、海の見えるテラスで休憩した。
潮風が気持ちよかった。
「とおる、どうだった?」
「すごかった……全部すごかった……。
海斗、連れてきてくれてありがとう」
その言葉を聞いた瞬間、
今日ここに来た意味が全部報われた気がした。
「うん。とおるが喜んでくれたら、それでいいよ」
本音だった。
帰りの車の中、とおるは窓の外を見ながらずっとニコニコしていた。
その横顔を見ているだけで、
俺は何度でもここに連れてきたいと思った。
ホテルに戻る頃には、夕陽が海をオレンジ色に染めていた。
今日一日が、とおるの思い出の中でずっと輝いてくれたらいい。
ともだちにシェアしよう!

