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番外編3・跡継ぎ
美味しい食事をした余韻がじわ~と残ってて最高。
レストランの美味しいパンも10本買って来たし、
なんだかワクワクする。
6本は冷凍庫に入れた。
残りは明日の夜、お義父さんや友梨奈ちゃんに出してあげるつもり。
「とおる、一緒に風呂に入るよ」
海斗に誘われた。
「う~ん、そうだねえ……」
俺がなんとなく返事を渋っていたら、
いきなり抱きかかえられて浴室に連れていかれた。
「ちょっと海斗、まだ返事してないよ」
「昨日から予約していただろう?」
なんだか、海斗がちょっと口をとんがらせていた。
「あれ予約だったの?」
「当たり前だろう?早く子供を作るよ」
「待って、だってヒートじゃないのに、子供なんて無理だよ」
俺は今子供を作るのは困る。
実家への仕送りができなくなる。
抱きしめられたまま海斗に言われた。
「とおるはヒートが弱いというか、
いつもフェロモンの匂いはしてるんだよ。
だからヒートが不順なんだと思う。
ということは、匂いがしている間は
子供が出来る可能性があるってことなんだよ」
「え、そうなの?だってそんなの聞いたことがないもん……」
確かに俺のヒートの回数は少ないかも。
「医者のいうことが信じられない?」
「ううん、そういうわけじゃないんだけど__あと2年は仕事をしたいの」
「仕送りをしたいからか?」
「うん、そう。だって香菜が大学に入ったから両親を助けたいの。
俺の学費と生活費のせいで、あまり貯金がないと思うんだ……」
本当は__それはあまり言いたくなかった。
「よし、分かった。こうしよう。俺はもうすぐ専攻医になる。
給料が爆上がりだ。とおるの稼ぎ分くらい軽く送れるさ。
今後は香菜ちゃんが卒業するまで、俺が代わりに仕送りするから、
また働けるようになったら俺に返してよ、ねっ?」
「ええ? だってさあ……。それはちょっと気が引けるよ」
なんだかそれはうれしいというより、負担なような......。
「駄目、言い訳は聞かない。子供は授かり物だから、
欲しい時に出来るとは限らないんだよ。だから作ろうよ」
結局、服を脱がされて一緒の風呂に入ることになった。
もう~言い出したら聞かないんだもん。
湯船の中で抱えられて何回もキスをされた。
「海斗、息が苦しいよ」
のぼせそうだった。
「とおる、さっきよりもフェロモンが匂うよ。
今夜は絶対子供を作るからね。跡継ぎにするぞ」
「え、もう跡継ぎなの?」
「当り前だろう?俺のフェロモンも強いんだよ」
「でもオメガが生まれたらどうするの?」
「それは女の子ならめちゃめちゃ可愛がるさ。
でも男なら、とおるに任せるよ。
だって今だって立派に仕事をしているだろう?」
‥‥‥ふふっと笑みがこぼれた。
うれしい、そう思っていてくれたんだ。
子供‥‥‥女の子なら海斗に似て、凄くかわいい子になる。
男の子なら、俺に似るのか?
あまり顔は期待できない。
でも海斗の血が半分は入るんだから、俺よりも頭は良いかもしれない。
経営の方はきっと出来るかもだね。
そんなことを考えていたら、
「さあ、上がるよ」と抱きかかえられた。
それからはもう、腰が抜けるほど抱かれた。
うれしくて、やっぱり海斗にしがみ付いちゃった‥‥‥。
ようやく海斗が満足してくれたかなって思ったら?
「よし、そのままで体制維持」と海斗。
「は?」
「可能性を上げるんだよ」
恥ずかしい‥‥‥。
そのうちにお許しが出た。
もう~海斗ったら......。
でも抱きしめて休ませてくれたから、良いことにした。
翌日は確かに海斗が言っていた通り、身体がだるくて無理。
料理をするまでは自信がない。
俺は体力がない。
野菜のテリーヌはなしだ。
ただ、デザートは昨日レストランで、
持ち帰りにしてもらったクレームブリュレがある。
これにイチゴを足そう。
あとはどうしよう。
やっぱり頑張って鶏肉のシチューを作ろう。
煮こめばいいんだもんね。
でも午前いっぱい海斗が眠らせてくれた。
そして、起きたら家中の掃除をしてくれてた。
えへへへ、それならいいよ。
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