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番外編4・ブリュレの夜
俺は夕方から気合を入れ直して、頑張って夕食を作った。
そしてお義父さんや友梨奈ちゃんがやってきた。
「こんばんは~」
「オー来たか!」と海斗が玄関に迎えに行ってくれた。
いつも可愛い友梨奈ちゃんが、かわいい恰好をしてきた。
この2年で大分大人になったね。
「ほほう、夕飯は何かな?」とテーブルを覗き込んでいるお義父さん。
「とおるが腕を振るって作ってたよ、乞うご期待!」
まったく余計なことを言ってハードルを上げた海斗。
もう~。
「座って~、今日はね、鶏もも肉のトマトシチューです」
お義父さんの好きなシーフードサラダもたっぷりある。
熱々のシチューを出した。
「うまそうだねえ」とお義父さんが言ってくれたんだけど、
「今夜はね、すっごく美味しいパンがあるの、焼きたてを出すね」
一つずつ切ってかご盛りにしたものを、
わざわざテーブルに持って来たトースターで焼いた。
「はい。どうぞ」トングでパンをお皿に乗せていく。
この感じがめちゃ幸せ......。
「それにね、フランス製のバターがあって、
これがすごく美味しいからつけて食べてね」と俺。
バターを小皿に乗せてあげた。
「ああ、ようやくこのバターが食べられるよ~。
とおるが友梨奈たちが来るまでは、
ダメって食べさせてくれないんだよ」
「あははは!」とお義父さんが笑っていた。
「海斗!もう~」
また余計なことを言い付けた!
でも焼きたてのバケットにバターをつけて食べたら?
「なあに?これ。美味しすぎ!!」と友梨奈ちゃんが叫んだ。
「ああ、なるほど、このバターはミルクっぽいというか、香りがすごく良いねえ」
お父さんが喜んでくれた。へへへ。
「うまいだろう?お高いフランス製のバターなんだぜ」と海斗。
テーブルの下で足を蹴っ飛ばした。
「イテッ!」
ハハハとまたお義父さんが笑った。
「とおる兄さん、もっとパンが欲しい」
「OK」
すぐ追加で焼いてあげた。
そして食べ過ぎなくらいに皆で食べた。
デザートの番だ。
「とおる兄さん。今晩のデザートはなあに?」と友梨奈ちゃん。
「すごいよ~、高級なフランス料理屋さんのクレームブリュレだよ」と海斗。
「ほう~」とお義父さんが感心していた。
もう、海斗め、贅沢だって思われちゃうでしょう?
いつもじゃないんだからね。
そしてブリュレにいちごを多めに添えて、出してあげた。
「こりゃまたうまそうだねえ」とお義父さん。
一口食べて、
「わー濃厚でめっちゃ美味しい」と友梨奈ちゃん。
「コーヒーにしましょうか?」と俺。
「そうだね。ブラックにミルクを少しいれようかな?」
お義父さんのリクエストだ。
「私は紅茶がいい」
「俺はブラックコーヒーね」と海斗。
「海斗はこのまま専攻医になって、問題はなさそうか?」
お義父さんが何気に海斗に聞いていた。
「おおー、任せてよ」
「内視鏡も練習しろよ」
「もう~分かってるって」
いつも威勢だけはいいんだよな。
でもこの時間が温かくて一番好き。
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