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番外編6・幸せ太りと、牛乳寒天の午後
おやつをしっかり作るようになって、
俺はなんだかウェストがきつくなった。
やばい。幸せ太りなのかな?
今日のおやつは牛乳寒天。
中にキーウィとミカンの缶詰といちごを入れた。
例によって、海斗がお昼ごはんに来ない。
今日はおにぎりと卵焼きだから、
もうテーブルの上に出しておいた。
何やってるのかな?
監視カメラが欲しいよ。
でもなんだか今日は疲れたから、少し休もうかな......。
こっそりソファで横になった。
そのまま俺は、うっかり眠ってしまったらしい。
気が付いたら、海斗が俺を覗き込んでいた。
「大丈夫か?疲れたら家で休んでいいぞ」と海斗。
「うん。ごめんね。なんか寝ちゃった」
海斗が俺の額に手を当てた。
「少し熱がないか?測ってみるよ」
「え、そんなはずないんだけど......」
でも俺の話は聞いてくれなくて熱を測った。
「ほら。やっぱり熱があるよ。
微熱だけど、どうしようかな?車で家まで送るよ」
「良いってば、もう治ったよ。
一緒に帰るからそれでいいでしょう?」
海斗がじっと俺を見つめていた。
ああ~もうそんなにきれいな瞳で見つめないでよ。
また惚れちゃうよ......。
「わかったよ。そしたら親父には言っとくからさ」
「駄目だよ。言わなくていいから」
でも聞いてくれるわけもなく、
なんと今度はお義父さんも連れて来た。
もう、海斗ったら、大げさなんだから......。
お義父さんがなんだかニヤニヤしている感じだった。
なんで?
「とおる、親父が妊娠してるんじゃないかって言ってるぞ」
「え?まさか」
「いいから、来い。検査するぞ」
手を引っ張られてバース科に連れられて行った。
検査が終わってまた呼ばれた。
「海斗さん、奥さんおめでたですよ。もう4か月ですね」と言われたら、
海斗が「よっしゃー」とガッツポーズをした。
もう恥ずかしい。
どうしよう~仕送り......。
「とおる、でかしたぞ!これで跡継ぎが出来る」
「ちょっと待ってよ。
まだ無事に生まれたわけでもないんだからさ」
「うんにゃ、絶対無事に生まれるさ。俺に任せておけ」
......ってどうするの?
代わりに産んでくれるわけでもないのに......。
大きなおなかで病院なんか来れないよ。
恥ずかしすぎる。
涙目になってきた。
「とおる、どうした?うれしいのか?」
「違うよ。大きなおなかになったら。
恥ずかしくて病院に来れないよ」
「はあ?来る気だったのか?いかん。
ずっとうちに居て安静にしないと駄目だろ。
仕事は休職に決まってる」
またぁ......。
何でも一人で決めるんだから......。
そして海斗は院長室に、俺を引っ張って行って早速報告した。
「そうか!おめでとう。良かったなあ」とお祝いを言われた。
「はい、ありがとうございます」
なんだか、こそばゆい......。
「それでさ、大きなおなかだと、
恥ずかしくて病院に来れないんだって、どうしようか?」と海斗。
「そうか、そうかもねえ。そしたら、家で仕事していいよ。
つわりはなさそうだね? だから出来る分だけでいいよ。
仕事は海斗に持って行って貰うよ」とお義父さん。
「はい、すみません。でも、まだ目立たないので、
もう少しなら出来そうです」
「うん、そうか。その辺は自由にしていいよ。
無理しないで疲れたら休んでいいよ」
「はい、ありがとうございます」
もう、お父さんがメチャメチャやさしい。
ああ~この前の体勢保持‥‥‥絶対あれのせいだよ。
効率よすぎ。
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