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番外編8・ルンルン産んで離婚しよう
点滴治療を始めて3日目に、ようやく子宮の収縮が収まったみたい。
痛みが消えてきた。ああ~良かった。
これで何とかもう少しは保つかなあ?
海斗がすごく心配して、2時間おきに覗きにくる。(笑)
「もう監視カメラを付ける?」と冗談を言ったら、
本当に買ってきちゃった!
見守りカメラってやつ。
ペットの見守りに使う人が多いらしい。
そしてスマホを患者さんから見えない位置に置いて、
ちらちら見ながら診療してるんだって。
ちょっと待ったー!
それさ、病院中で評判になっちゃうじゃん!
それに絶対安静って、トイレもベッドの上でするんだよ。
「カメラから丸見えじゃん!」って文句言ったら、
顔しか見えない位置にしてるから大丈夫だって。
え?信用できない.......。
「診察室のナースの人が皆で見ちゃうんだよ。
どうしてくれるんだよ!」って言ってもしら~ん顔。
海斗は全く聞く耳を持たず。
もう恥ずかしすぎる。
しょうがないから、背中向けて寝ている。
そうこうして、やっと妊娠10カ月になった。
そしたら、「もう大丈夫だから、産みますか?
それとも自然に陣痛が来るのを待ちますか?」
と、先生から聞かれた。
俺は骨盤が狭いって聞いていたし、
怖いから「産みます」って言っちゃった。
海斗も早めがいいって言うしさ。
それで早速、帝王切開で産むことになった。
手術には海斗も立ち会うんだって。
なんだか恥ずかしいなあ。
麻酔は腰から下の局所麻酔を2つ併用するそうで、
意識は普通にあるから、赤ちゃんの産声も聞こえるし顔も見られるんだって。
えへへへ。うれしいな。
そして手術が始まったかな?と思ったら、
あっという間に赤ちゃんを取り出してくれた。
「男のお子さんですよ! おめでとうございまーす!」
スタッフの皆さんが声を揃えてくれた。
「ふぎゃ~」と泣いていた。うわ~男の子なんだ。
海斗が喜ぶかな?と思ったら、俺の手を握って、
「とおる、本当に有難うな」と泣いていた。
そしたら俺もうれしいから、
「うん」とうなずいて涙ぐんでしまった。
男の子は2750gの小さめだった。
でも10か月まで待ったから大丈夫だって。
そして無事に手術が終わって、俺は回復室に移された。
麻酔があと2日程利くようにするって言ってくれた。
お腹を切ったから、やはり痛いんだろうなあ。
俺はまだ知らなかった。
翌日には秘書室にベッドを移してくれた。
そして2日目の夜。
俺は痛みで死にそうだった。
もう海斗を呼びっぱなしだった。
「海斗、痛いからなんとかしてえ~」
「うん、痛み止めの注射するけど、この後はできないよ」
「はあ?俺が死んでもいいの?」
「だからさ、これは麻薬系で強いから、使える回数が決まってるの」
「だめー!海斗の裏切者ー!!一生恨んでやる~」
わめいてしまった。(笑)
結局注射の効果が切れたら、今度は痛み止めの座薬を入れてくれた。
「でも座薬もこれで終りね」と海斗。
「離婚してやるーー!」
海斗は慌ててタオルで俺の口を塞いだ。
「もう二度と子供は産まないからねーーっ!」と叫んだ。
俺がこんなに痛みに弱いなんて知らなかったよ。
この時のことは、後々まで海斗にからかわれた。
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