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第16話 どっちが酷い奴?①

「うう……」  と唸り、ようやく目を覚ますジュリアスくん。僕はベッドに彼を寝かせた後、食い入るように彼の綺麗な寝顔を至近距離でジーッと見つめていたので紫の目に僕が映った瞬間ジュリアスくんが 「うわおあああああっ!!なんだてめええこのっ!やんのか!!」  と驚きと共に枕を投げてきた。 「ああ良かった、生きてた……!びっくりしたよ。死んだかと思った」 「てめえ人の部屋で何してんだよ!!?てか何で見てんだキメェわ!!どっか行けよホラーだ!」  といつもの悪態が返ってきた。  一応これでも心配したのに……。 「なんかいきなり倒れたから驚いたよ。今日は出掛けて疲れが出たのかな?君滅多に外出しないから体力が衰えているんだよ。ラジオ体操とか毎日した方がいいよ?めっちゃひ弱になってて僕をあんなか弱いパンチで殴って疲労困憊で倒れちゃったし」 「ち、ちが、あれは……!お前があんなことすっから腹たって思わず手が出て……ぶん殴ったら心臓痛くなるの忘れてて……!つまり神の力のせいで気絶したんだよ!!」  と言った。  あんなか弱いパンチ一つで気絶するのか……。彼の心臓は大丈夫だろうか?  前世なんか、もう僕が吹き飛ぶくらい凄いパンチで二週間くらい頬の腫れが引かなかった彼が……。 「弱ったなぁ……」  としみじみ感じた。 「何がだ!てめえ!ざけんな!いきなりあんな事しやがって!どうしてくれんだ!!俺のファーストキスが男同士とかもう悪夢でしかない!!」  と髪をグシャグシャするジュリアスくん。 「そう言えば僕もファーストキスだ!うわっ恥ずかしい!」 「キメェ!!」  と枕で仕切りを作るジュリアスくん。 「でも……これで少しは皆にラブラブだと思わせられたかも……。でも君が気絶したからプラマイゼロなんだよね結局。僕は嫌がる婚約者に無理矢理キスした変態王子として噂されることになる。不味いぞ」 「不味いぞ!じゃねーんだよ!!ざけんな!!俺が気絶しなかったらまさかあいつらみたいに舌入れてたのかっ!?」 「そこまでする気はなかった。やらしーな!ジュリアスくん」  流石の僕も初キスでそこまでするわけがない。 「いや、待てよ?逆にしていれば使用人達も納得したかもしれない?」  と言うとジュリアスくんはうええっとした顔で 「もう吐き気しかない。俺に近づくんじゃねぇ!」  と後ろを向いてしまわれた。 「君がひ弱過ぎるから今まで気を遣いデートにも誘えなかった。それが逆に皆に不信感を与えたんだよ。普通の婚約者ならデートくらいする!」  と言ってみると 「男とデートしてたまるか!俺は原石みさとみたいな女とデートしたい!」 「前世の女優さん例に挙げてもいないよ?どこ探しても女は」 「くそっ!いっそもう死にてえ!!……そうだ!何で死のうと思わなかったんだ!?死んでまた今度こそまともな神に頼み女のいる違う世界に生まれ変われば……」  と言うので僕は怒った。 「それ本気?何命を粗末にしようとしてるんだい?……僕は散々前世で君に虐められたけど……死のうなんて思わなかった。これは僕の親に対する感謝だ!君は前の両親は酷かったかもしれないけど今の君の両親……スプリンフィールド侯爵夫妻は少なくとも君を溺愛してくれたはずだ!  今の両親を裏切り命を絶つと言うなら許さない!この親不孝者!!」  と僕が怒ると…… 「し、知らねぇよ!あんな奴等を家族と思っちゃ……」 「君前世に囚われすぎてるね。まだ前世が続いてると思ってるの?もう君は死んだって言ってるだろ?いい加減にこの世界を受け入れるべきだ!セバスくんを見て僕は思ったんだ。  彼だって僕達と同じ転生者なのにこの世界に順応し好きな人と幸せに生きている……。僕は羨ましいと思ったよ。僕にもまたこの世界でお父さんお母さんに弟達がいるからね……。その人達は他人じゃないんだ」 「俺は実の兄に貞操奪われそうになったんだけど!?」 「それはそれ、これはこれでしょ!」 「いやどういうことだよ!!?」  とジュリアスくんは少し涙目だ。怒りすぎた。

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