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第33話 心配性のヤンデレ王子(ジュリアス視点)

 あの場所に少なくとも20数人黒服の覆面男達がいた気がする。  俺達はあの前世持ちのフェルナンド王子に嵌められたってわけだ。  あの野郎は案の定ロディを未練がましく思っていて俺やロディを拘束してロディの目の前で男達に俺が犯されてる所を見させる気だったらしい!  卑劣な奴だぜ!  前世の俺でも流石にそこまではしねぇ。まぁ前世の千隼も彼女など作る暇なくバイトしたりしてたからな。  男達に服の上からでも撫でられて悪寒が走った。気持ち悪いしロディ以外に尻穴掘られると思ったら怖くなった!!  しかもロディの目の前でヤられるなんて! と思っていたらロディがブチ切れたのだ。何やら魔道具の閃光玉みたいなのを取り出して床に投げつけた。俺は目を瞑り男達が怯んだ隙に次々に人が倒れ呻く音が聞こえた。  光が収まり目をゆっくり開けると恐ろしい顔したロディが服に血をつけてフェルナンドを後ろ手に拘束し短剣を喉に突きつけていた。  男達はあちこちから血を流して全員気絶したりうめいていたりとにかく立ち上がる者はいない。てかこれ……ロディが全部やったのかよ!!?  ひいっ!あいつキレたらこえええよ!!!  今も完全に我を忘れているみたいだ。俺が男達に触られるのを押さえつけられながら見ていたロディが悔しそうに叫んでいたさっきの場面が思い出された。  しかしロディはフェルナンドが気持ち悪いドM属性をあのクソ神から与えられたと知り一瞬我に返る。 「つまり千隼くんに虐められたりしても嬉しいってことなのぉ!千隼くんの手で殺されるのなら本望よ!!  さあ!殺してェ?」  と言われて離れ俺の方に来るロディ。 「ああん!千隼くん!どうしたの?そんな尻軽淫乱男より私を虐めてくれない?千隼くんのヤンデレ受けてみたいの!」  と言うのにロディが戦慄してブワリと蕁麻疹みたいなものが出た!! 「ロディ大丈夫か!!?おい、キモ女男!何してくれてんだ!俺のロディに!!!」  と庇う。 「は!どきなさいよひ弱ヤンキーもどきが!!」 「くっ!ひ、ひ弱!?クソが!」 「あんたなんかそこらの男にヤられまくってればいいのよ!!私の千隼くんに手出すんじゃないわよ!!」  と言う前世のクソデブ女に俺もキレた。  ロディから短剣を奪い取り 「このやろーーー!!」  と短剣を振り回しながら奴に突っ込んでいくが簡単に手首を掴まれて壁に打ちつけられた!畜生!やっぱり俺じゃこいつを刺せねえ!  しかしロディは素早く動いたと思うと奴の股間を蹴り上げた。そして俺を華麗に助け出す。しかし俺の頬から血が出てるのを見るとまたしても鬼神の如く恐ろしい顔をして振り返りフェルナンドをボッコボコに蹴ったり殴ったりした。あれ一応お前の先輩で前世女だけど容赦無しだな。と思って見てたが流石に殺してしまいそうだ!王子殺しはヤベェだろ!?  もしかしたらさっきの光に紛れて逃げた男達もいたかもしれない!面倒になる前に止めねぇと!!  と俺は後ろからロディに抱きつき止めるように言うとキレたロディは 「今度僕とジュリに何かしようとしたら許さない!消えろカスが!」  と言い残して俺を支えてこの場所から避難した。  待機していた馬車まで戻ると御者のおっさん達が驚いていたしメイベルさんもこの有様を見て駆け寄った。  俺の服は所々ボロボロだし頬に血が滲んでいたしロディは返り血が点々と付いとるし蕁麻疹出しながら歩いてるしで。 「な、何があったのです!!?やっぱり付いて行くんだった!!」  と言われた。 「……メイベル……とりあえず馬車を出して帰ろう……」 「フェルナンド王子は……まさか殺したのですか!?」  と言うが俺はロディの青ざめた顔に首を振る。 「いや、ロディは俺を助けて他の男はほぼ全員あそこをロディに使い物にならなくされちまったけどフェルナンドは殺さなかったぜ。逃げた奴はいたかもしれねぇが」  と言うとメイベルはホッとした。王子殺しは流石に不味いもんな。俺も学んだからよくわかるぜ。 「それならまぁ……襲ってきたのは向こうからでしょうしフェルナンド王子側も分が悪い筈……王宮に帰り陛下達にも報告しましょう」  と馬車を走らせた。  馬車の中でただ沈黙し、ロディが俺をぎゅうぎゅう抱きしめた。 「おい、苦しいから!大丈夫だから!生きてるから俺!お前が助けてくれたんだから!!」  と言うとロディはハンカチを出して俺の頬の傷を心配した。 「許せなかったんだ。僕の大事なジュリの頬に傷をつけたあいつを!!触れた奴のあれは潰してやったけどフェルナンドのも使い物にならなくしてやりたかった……本人喜びそうだからやめたけど。  うっ、思い出しただけでも気持ち悪い目で僕を見てきてさ!! ……先輩があんな事になってるとは!!いくら先輩でも許せない!」  とロディは顔をしかめ、また湿疹を出した。 「落ち着け!!またブツブツ出てきたぞ!?」 「拒否反応だ……先輩のあの気持ち悪い顔思い出しただけで……」  とロディが怯えたように言う。 「大丈夫だ。当分動けねぇだろ!?あんなボコボコにしたんだからよ」 「ジュリ……僕の事怖くない?躊躇なく男達のを潰したし剣で人を傷つけたんだ……」  と服についた血を見てロディは青ざめた。 「抑えられなかった。目の前で君が僕以外の見知らぬ男達に犯されそうになってるのなんて見たら……いつの間にか持っていた閃光玉を投げていた……。  それから……」  とロディは俯いた。抑えきれなかった衝動で、人に大怪我をさせてしまったことに少し震えていたのだ。前世の千隼ならそんな事はしない。やはり千隼は死んだのだから。  俺はロディの手を握り 「俺は大丈夫だ。気にしてねぇ……別に血なんか見ても慣れてるし俺だってお前以外に犯されるなんて御免だ!本の話じゃなくて現実なんだからよ!  大体普段からヤンデレしてんだから今更怖くねぇよ!正当防衛じゃねぇか!  それに趣味の悪い事をしようとしたフェルナンドのヤツも部下が息子を潰されようがなんとも思っちゃいなかったしお前を尊敬する様な気持ち悪い目してたしあいつの方がヤベェだろ」  と言うとロディは 「……やはり殺しとけば……」  と言う。それは止めといた方がいい。  だが……、 「あいつ……きっとまた何かしてくるかもな。お前に殺されるのなら本望みたいだった……」 「自分のことを棚に上げておいてだけど心底悪寒が走る。気持ち悪い。……前世のことを少し思い出した。  先輩は僕にとってはただの腐仲間だと思っていたけど違ってた……。あの人は前世の僕しか見ていない……。僕の事ずっと千隼呼びしていた」  と言う。なるほどな。俺もこの世界に馴染むまで時間がかかってたけどあのフェルナンドは……前世の千隼を探してたのか。 「くそ!俺に力があったらお前にこんな思いさせねえのにな!」  と言うとロディが俺をまた抱きしめた。 「ジュリ!ありがとう!僕は残酷な事をしてでも君を守れて良かった!とても悪いことをしたけど…………」 「それなら俺も散々酷いことをしてきたからな。でもどんなにお前の手が汚れようともこの手は俺を救ってくれた手だから。俺は好きだ……」  と言って泣きそうなロディにキスした。 「うっ……うう……」  と泣き出した心配性のロディ。 「よしよし可哀想にな。もう大丈夫だぞ!」  と背中をポンポンしていつもと逆に慰めた。ロディだって好きで斬りまくったわけじゃねぇし!てかあんなプロ集団雇ってるフェルナンドが悪りぃ! 「お父様……陛下に話をする……」  とロディは涙を拭った。 ーーーーーーーーーーーーーー ※次回はR18回になります。

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