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第47話 初めて本気喧嘩する

 ジュリが安定期に入った頃のことである。  僕の所にフォレスト劇団の団長オウゲン・フォレストさんという中年紳士がやってきた。 「……ロドリゲス王……お初にお目にかかります!此度の謁見の機会をお与えくださり……誠に感謝申し上げます!」  謁見の間で僕は足を組み玉座に座って相手との応対をしていた。 「一体何の用かな?僕は執務や妻の所に早く行きたいから40秒で済ませてくれないか?」  と言うとフォレスト団長は 「さ、流石!ロドリゲス王だ!40秒なんてメチャクチャな速さで?  申し上げるなら一言……。  私どもの劇場で……ロミジュリ薔薇本の舞台化を承諾していただきたいのです!!」  とおっさんは言った。  な、なんですとおおおおおおお!?  衝撃で雷走った。僕はクワァとつり目を開いた!ジュリに赤ちゃんが出来た時以来だね。 「ぶ、舞台化ってことは!まさに2.5次元舞台!!?」 「は?2.5とは?」  とキョトンとするおっさんに 「いや、なんでも!そ、それはとても嬉しいですが!流石にあの……おセッセシーンはどうするのでしょうか!?」  と気になることを聞いた。流石にあんなエロ真っ盛りのシーンを観客達には見せられないよ!  と思ってると 「そのシーンは……上手く暗転を入れ声だけの芝居を行います。時折魔法の光で薔薇を散らしたり音楽を演奏したりで演出します!  ロドリゲス王……いえロミオ様!!どうかこの願い私の命と引き換えにでも!」  と膝を折りお祈りするかの様に言う。命と引き換えにするなんて団長真剣だな! 「……いやロミオは僕モデルの登場人物だしペンネームはチハーヤ・ササキーノですから…」  と言うと涙を流しながら 「ササキーノ先生!!どうかどうか!!」  と泣いて頭を下げた!!  メイベルが呆れている。 「うーん……。わかりました。では……妻がオッケーしたらにします」 「王妃様が……」 「安定期に入ったとはいえ無理はさせたく無いが流石に自分をモデルにした劇等には抵抗あると思うけど……」  と言うと団長は 「わかりました!いいお返事を待っております!!後、ついでに……」  とゴソゴソ懐から僕の本を取り出して 「サインをお願いしたいんです!!」  と言ったので仕方なく書いてやった。  ウキウキで一旦帰って行った団長。 「さて……素直にいいと言ってくれるかどうか……」  *  僕が舞台のことをジュリに伝えると少しお腹の膨らんだジュリは編み物をぐちゃぐちゃに絡ませていた。 「は!?舞台化!?あのロミジュリが!?」 「そう!嬉しいだろう!?ついにだよ!!アニメ化や映画化は無理としても2.5次元がついに実現するんだ!!  男優さん達も喜んで稽古してるって!」  と興奮気味に言うとジュリは眉を寄せた。 「おい、待てよ……!ジュリエットが複数の男にヤられてるシーンとかあるじゃねぇか!どうすんだよ!そんなの観に行きたくねぇよ!!」 「そこは暗転や声だけの芝居や時折魔法の光で薔薇を散らしたり音楽を演奏したりで誤魔化す演出らしいよ」  と言うとジュリは更に 「ううん……それでもなぁ……。なんとなく俺は原作派だからよ。ほら実写が映画化したら変なアレンジしてつまらなくなる現象あるだろ?あれだよ!……なんか……嫌だな……」  と言った!ガーン!そんな!作者からしたらもはやコケても自分の作品が実写されるのとか嬉しいのに! 「そんなぁ!団長だって張り切ってるのに断り辛いよ!!今更!ジュリがいいって言ったら返事する事になってるのに。……サインまで書いたんだよ!?」  と言うとジュリは 「ああん!?勝手に変な約束すんなよな!そんなん断ったら俺のせいにされるじゃねぇか!恨まれてお腹の子ごと刺殺されたらどうしてくれんだ!!」 「なんでそうなるの?そんな事にならないから!衛兵も護衛もいるのに!ジュリは僕のファンのくせに!」 「作品のロミオのファンでも実際のイメージはお前だし他の知らない男が演技しても違和感しかねぇんだよ!楽しめるか!」  くっ!なんて強情な! 「も、もう!それなら……AV観に行くと思えば……」 「それこそアホか!妊娠中の妻にやらしいもん見せてくるアホ夫がどこにいんだよ!!どうせBGMも変な選曲で誤魔化すかも!胎教に悪い!嫌だ!行くもんか!!」 「もう!ジュリのわからずや!いいじゃん!舞台化くらい!」 「うるせー!原作派達を無視した実写化なんて認めるかーー!!出直してこい!!」  と完全に僕とジュリは真っ向から対立した意見に割れた!確かに変なのを観せて子供に悪影響が出たら大変だが 「それならジュリは観なくてもいいじゃない?僕だけ作者だし行けばいいんだ!」  と言うとジュリは昔より結構強いパンチを繰り出した!  バシン!!  その音に周りが凍りつき、一瞬僕は固まった。 「馬鹿やろーー!国王陛下だけ観覧に行ったら王妃と仲が悪いって直ぐに噂されんぜ!ここの連中の変な勘ぐりを舐めんな!あまつさえ団長と出来てるとか言われかねないぞお前!!」 「うぐっ!でも僕は!2.5次元舞台が楽しみなんだ!なんとしても実現させたいんだ!」 「ロディのわからずや!」 「ジュリこそ!心が狭いよ!!」 「このクソオタク国王が!!」 「オタク馬鹿にすんなーー!」 「お前は俺のことより作品の方が大事なんだな!?」 「ジュリは僕の夢を否定するんだね!」  と怒鳴り合ってるとメイベルとタブラーがわたわたして 「ちょ!落ち着いて!!二人とも!」 「お腹の子に触りますよ?」  と二人は止めるが 「うるせー!この子だってこんなアホな劇観れるかって言ってんだよ!」 「まだ産まれてないのに喋れるわけないだろ?もう知らない!僕は勝手に話進めてやる!」 「はっ!それなら阻止するまでだ!今や俺も王妃だからな!更に美貌に加え男なら誰でも言う事聞くんだからな!」  と言うからムッとして僕はジュリとお互い顔を背けて初めて大喧嘩した。  こんな気まずい空気は初めてだった。

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