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第54話 記憶喪失らしい(ジュリアス視点)
俺の名はジュリアスと言うらしい。
医者にいくつか質問され鏡を見せられとんでもない美青年が映る。
こ、これが俺の顔?
凄え綺麗だ、男のくせに。背景に薔薇を背負える!俺って凄え。よく見たら心配そうにあちこちから視線が集まっていた。
そりゃこんな美青年が怪我したら心配だろうな!!へっへっ!いい気分だぜ!
そしてーー。
目の前にとんでもなく整った顔の黒髪サラサラの真ん中分けの男が心配そうに手を握っていた。
誰だこいつ。なんか知らんが。
それに頭はボヤッとしている。
「ジュリ!そんな!記憶喪失なんてベタな展開!!くっ!こんな時にネタが!!」
とか言ってる。悩むこいつも綺麗だ。
「ジュリ……僕はロドリゲス……ロディだよ?覚えてない?君の夫でこの国の国王だよ?」
と言った!!え!?
嘘だろ!?こんな整った容姿の王様が俺の伴侶だって!?確かに顔は結構好みで嫌な感じはしないが……なんだ?なんか内面怖そう。
そしてメイベルという従者に抱き抱えられてきた愛くるしい子供が泣きながら
「まーま!!あたま……いたい?」
と抱きついて頭を触ってくる!?誰だこのガキは?
「ジュリ……ダイアだよ?ダイアモンド……。僕と君の子供なんだよ?」
というから驚いて声も出ない!確かに金髪は俺に似て青い瞳はこの美形の王様にそっくり!めちゃくちゃ美少年!可愛い!
「俺……が……この子の……父親か」
「いや母親だよ。産んだのは君だから」
と言うので驚く!!
「なっ!何ぃいいいい!?俺がこいつを産み落とした!?何言ってんだお前!俺は男……え!?ええ?……ああううう!!」
と頭に激痛が走り俺は気を失った!遠くで子供の泣く声に美形の声がしたが俺は意識を無くした。
*
目が覚めると美形が横で眠っていたからビビった!うおおお!何だこいつ!?
しかし冷静に考えたら……
あ、確か俺の夫で国王だったか。サラサラの黒髪につい指を入れると
「う……ジュリ?」
と目を開けた。青いキラキラした少しつり目の瞳と目が合い恥ずかしくなる。な、なんだ?俺、どうしちまった?
「大丈夫?思い出した?」
と聞かれ首を振る。
「なんもわからねえ。結婚も王妃も子供もお前も……思い出そうとしたら頭痛くなる」
と言う俺に優しく微笑み
「そっか……大丈夫だよ。ジュリ……ゆっくり焦らず思い出してね。もし思い出すことが無理でもここからまた始めよう?」
「え?」
と見ると結婚指輪のはまった指を取りキスされた。ひっ!
「ジュリ……愛してるよ」
と言われてなんか身体がブルっとしてゾクっとした。
「でも俺……なんも……」
「無理に思い出さなくてもいいよ。日中はゆっくりしてね。ダイアもとても心配してるんだ。最近やっと歩けるようになったからね……。走れるようになったら友達のセシルくんと一緒にジュリの為にお花摘んであげるんだって」
「ダイア……俺の子?」
「うん。僕とジュリの子供」
「可愛かった……」
「そうだよ。とにかく休んでね。好きな事してればいいよ」
と美形の国王が優しく微笑み心臓がドキンとする。
「ああ、でも注意してね?ジュリはとんでもなく美しく……いろんな男達が君を狙っているからね……記憶喪失の今が絶好のチャンスと見て襲ってくるかもしれない」
「はあ!?俺男だぞ!?なんで!?いや、鏡見たら確かに綺麗な男だったけど、俺は男で……男と男が?あれ?」
と混乱した。俺何言ってんだ?
「まだ混乱してるね。前世の記憶も少し感覚として残ってるから余計に混乱してるんだ」
「ん?」
前世の?わからん。
「その言葉遣いとかね。まぁそのうち思い出すよ。思い出さなくても君を離さないし……それともジュリは僕と離れたいかな?」
と吸い込まれそうな青い瞳で見つめられまた心臓がうるさくなった。か、カッケェ。何だこいつ。そんな見んなって!
頬に手を置かれビクっとした。
あ、顔が……近いって!
段々と近づいてくるから恥ずかしくなり、つい顔を背けた。
すると頬にキスされた。
瞬間ブワッと体温が上がるのを感じた。
うう!恥ずかしい!
手を握り見つめられ溶けそうに微笑んできやがる!!
「ふふ、僕とキスするのはまだ嫌みたいだね。あんまり急いでも混乱するだろうから……ゆっくりとお休み」
ダイアにも無理に思い出させないよう言い聞かせるから安心してね」
と言い、美形国王は起き上がりこの部屋には自分と子供と信用できる者しか入れない結界が貼ってあるから安心するようにと言われ、出て行った。
なんかちょっとだけ寂しいけど本棚になんか本がズラリと並んでいて俺は暇潰しに読み始めたら結構面白くてハマった。
作者はチハーヤ・ササキーノだって。
*
日中ボーッとしながら本を読んでいるとノックされあの可愛い俺の子供と友達らしき美少年が花を持ってやってきた。
「まま!おはな!つんだ!セシルくんと!
ぼくはしれたの!!」
と息を切らしながら言う。ちょっと大丈夫か!?と思うくらいの様子でセシルと言うこちらも美少年な子に支えられていた。
「えと……ありがとう。えとえと、ほら座りな。ジュース飲むか?」
と使用人さんに言うと持ってきてくれてコクコクとダイアと言う我が子は飲み干した。なんだこれ可愛い。愛しいと思った。
でも少し頭が痛い。ゆっくりと思い出そうと美形国王も言ってた。うん、焦らず行こう。
「まーま、眠いー」
と俺の方によたよた歩きボフンと膝の上に横になった。
セシルという子供はまだ小さいのに頭を下げて礼儀正しく部屋を出た。
俺はダイアと横になり背中に手を置く。ちっちゃいな。可愛い。
いつか絶対思い出してやる。
と決めた。
*
その日からは食事は家族で取ることにして色々と1日の出来事を話したりした。
俺は本を読んだり子供の相手をしてるだけだが、美形国王はいつも忙しそうだ。夜になると
「疲れたー!」
と深夜になって寝室に入り俺の横に寝た。疲れているのかぐっすりだ。なんかでも安らぐ。心臓はドキドキするし、俺こいつのこと好きなんだろうなとは感じてる。
ある日、美形国王は視察で数週間王宮から離れる事になった。
ダイアは泣きついた。記憶喪失からゆっくり日々を過ごしているうちに 1年半程経ち、ダイアは2歳半になっていた。
「お父様!!寂しい!早く帰ってきてください!」
と言葉もかなり上達して歩くことも走る事もできるようになっていた!元々頭の回転などが良く、言葉を覚えるのが得意らしい。きっと国王様に似たのだと侍従の人が言っていた。
「うん!勿論だよ?お土産を持って帰るからいい子でお母様のこと守ってあげてね」
「はい!!お父様!!」
とダイアは意外とキリっとして言う。
「それじゃダイア、ジュリ行ってくるね?」
「お……おう……気ぃつけて……」
と言うとロドリゲス国王がうるっとした。
「ジュリが僕の心配を!ありがとう!怪我ないようにね!」
と額にキスされ出かけて行った。
ううん、寂しいと感じるんだな。
早く戻らねぇかな。
今まで夜になるとベッドで一緒に眠るけど気を遣われロドリゲスのやつは俺に手を出してこないんだ。
別に構わないが……あいつ本当に俺のことを愛してるのかな?モテるだろうからもしや使用人の男とかと浮気していたらどうしよう。記憶喪失の間に浮気とか。
俺以外の男にも愛してるとか言ってたらと考えたらイライラするし不安になる。
嫌だ!あいつは俺のものなのに!
ああ、やめよう!モヤモヤしてきたぜ。
それからも美形国王が居ない中、子供達と遊んでやった。ダイアは父親の代わりか何か知らんがやたらと周囲を気にするようになり衛兵が話しかけてきたら
「お母様に近づくな!!」
となんか魔道具のビリビリするやつを衛兵の男に仕掛けていた!!
凄え!ダイアって強いのか?
ダイアは体力作りに毎日ハアハア息を切らしセシルと庭を少し走っていた。
あの子凄え努力すんなぁ。体弱いって聞いたから少し心配になる。褒めてやると嬉しそうにしてその後はぐったりと寝てしまうが。
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