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第25話 極道の本質

 祥吾は、会長である父東吾の許可も得て、川上組に絶縁を付きつける。  以後川上組は、娘の浅はか極まりない行動によって、最大の支援組織の後ろ盾を失う。自業自得といえる結末だった。  祥吾にとって今回の忌々しい事件の影響で一番心配なのは、言うまでもなく結人である。  堅気で真面目一筋で生きて来た結人。その結人には、衝撃的な事件だったのは、想像するまでもない。  どれだけ怖いを思いをし、そして傷付いただろう。  幸い体の傷は、頬を張られただけで大したことは無かった。しかし、心の傷は……。  極道に対して忌避しなければいいが……それが最大の懸念。  里香のしたことは、極道の風上にも置けないこと。やくざやチンピラの行い。そういう輩とは一線を画す鬼神一家。それを結人は分かってくれるだろうか……。  それを理解してもらうのが、今の自分の最大の務め。燁子は勿論、ここは玲の力も借りて、それこそ使えるものは何でも使う。祥吾はそう決意していた。  ――――  結人は、極道の女とも言えないあばずれから向けられた悪意に、衝撃を受けた。それは、祥吾の思っていることと同じだ。  頬を張られたくらいで済んだのは不幸中の幸いだった。  あと少し祥吾が遅かったらどんな目にあっていたか、間一髪だった。  あの時、心の中で助けを求めた。それが通じたかのように祥吾が現れたのには驚いたし、助かったと思った。それは事実。  しかし、結人にとってより衝撃的だったのは、祥吾の怒りだった。正に激怒だった。あの怒りに燃えた顔、初めて見た。  そして、骨を折れとの命令。あれが、極道としての祥吾の姿なのだろうと思った。  本宅の様子にも驚いたが、怖い部分は全く見ていない。単に表面だけ、それだけでも結人には驚いたが、内面は全く知らなかったのだと、今更ながら気付いた。  あの時の祥吾の激怒は、自分を思うが故のことだとは理解できる。だが、祥吾の極道としての本質を見せられたようで、結人は戸惑うのだ。  果たして、自分は祥吾に相応しいのか……。  会長からは、歓迎すると言われた。それは、一家としても歓迎するということだとも言われた。ありがたいと思う。  このまま祥吾との付き合いを続ければ、自分も一家の人間になるのか、彼に付いて行くことができるのだろうか。  ――――  祥吾は結人の元気の無さに気付いている。それが事件の影響なのは当然のこと。だが、どうしたらいいのか……下手に怖い記憶を呼び戻してもいけない。  やはりここは、燁子と玲の力を借りよう。そう思って本宅へと誘うが、何かと理由を付けて断って来る。  まずい、まさかフェードアウトする気か……結人にブロックされた記憶がよみがえる。結人は意外と思い切った行動に出る。 「えっ、私が外で」 「ああ、あいつかなり落ち込んでいるってか、全く元気がない。原因は分かっている。ただ俺が直接触れるのはどうかと思うんだ。それで本宅へ誘うが全く応じない。意外と頑固なところもあるんだ」 「頑固なのはいいんじゃない。強さの証拠でもあるんだから」 「今それ言ってる場合じゃねえんだ。このままフェードアウトされる恐れもある」 「確かにね……確認っていうか、率直に聞くけど、どこまでされたの?」 「馬鹿女にびんたされた」 「それだけ?」 「服は引き破られたけど、寸前で助けた。まあ、危機一髪だった」 「そこは不幸中の幸いだけど、ショック大きいわね」 「普通、男がそんな目に合うなんてないだろ。チンピラがやったことだが、極道もを忌避したらと心配なんだ」 「うーん、あんたの心配も最もだわね。分かった、私が会って話してくる」 「ああ、頼む」  祥吾は姉に頭を下げる。  普段から言いたいことを言い合う姉弟。だからこそ仲が良い姉弟なのかもしれない。

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