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第44話 司法修習終了

 二月、司法修習の研修が全て終了した。残すは、通常二回試験と言われる『司法修習生高考試』を受験する。これに合格すると晴れて弁護士だ。  二回試験は五日間、本試験と同じかそれ以上に過酷なもの。結人は気を引き締めて挑んだ。 「結人さん、明日から試験ですね」 「ああ、五日間もある」 「大変ですね、ほんと弁護士になるのも楽じゃない」 「ああ、漸くここまできた。あと少しの辛抱だ」  広沢との会話で祥吾はつくづく実感する。司法修習の期間のこの一年弱、中々会えない日が続いた。これも結人が弁護士になるための我慢だと耐えてきた。  あと五日。そして一週間後は合格発表。待ち遠しいが、今までの長さを思えばあと僅か。 「試験が終われば、結人の引っ越し準備も加速する。こっちの準備も抜かりないか?」 「はい、離れも、執務室も受け入れ体勢完璧です。あとは結人さんに来ていただくだけです。結人さんの荷造りへ応援にいく若い衆も決めてあります」  結人を鬼神一家へ受け入れる準備は整っている。あとは結人が来るだけ。試験後、マンションを引き払う準備に入り、合格発表は本宅で受け取る、そういう段取りになっている。  結人は、ちょっと慌ただしくないかと言ったが、祥吾が押し切った。 「ああ、一気に進める。盛大に合格祝いをするぞ」 「はい、そちらの準備も万端です」  ―――― 『いよいよ明日からだな』 「うん、そうだね」 『五日って長いよな。まるっと平日一週間だもんな』 「そうだよね。過酷だけど、これで最後だし、ここでこけたら今までの努力が水の泡だから頑張るよ」 『頑張れよ。最終日迎えに行く。ああ、心配するな。弁当差し入れてマンションまで送っていくだけだ。お前は疲れてるだろうし、ただ、顔は見たいからな』 「弁当、本試験の時思い出すな。美味しかったよ」 『そうだったな。相川が張り切ってるから、期待してろ』 「それを楽しみに頑張るよ」 『ああ、じゃあ頑張れよ』  結人は祥吾との電話を切る。いよいよ明日から最終考試。弁護士になるための最後の関門だ。  五日間にわたる過酷な試験だが、大丈夫、乗り切れる。結人はそう自分に言い聞かせて眠りについた。  最終日、祥吾は朝からソワソワしている。今日は夕方結人を迎えに行く。マンションまで送っていくだけだが、戦い終えた結人の顔を早く見たい。そう、この試験は結人が一人で戦う最後の戦い。祥吾はそう思っている。  これからは、常に自分が側にいる。結人が一人で戦うことはない。 「若、結人さんの弁当です」 「あーっ相川、ありがとな。あいつこれを楽しみに頑張るって言ってたから喜ぶぞ」 「結人さんそんなことを……作ったかいがあります」  結人が喜んでくれたらと、張り切って作ったが、楽しみにしてくれていたとは……こんな嬉しいことはない。  元々結人推しの相川だったが、それが更に爆上がりするのだった。  一家の奥を取り仕切る相川の、結人への好感情は、一家に入ってからの結人の強力な力になるのだ。  結人は難なく奥を統制していくが、それは相川の助力があってからこそなのだ。 「さすがに疲れた顔してるな」 「うん、精根尽き果てたよ」 「ああ、今日は弁当食って早く寝ろ。相川が張り切って作った」 「ありがとう。お礼言っといてね」 「明日は夕方迎えに行く。何が食いたい?」 「やっぱり中野かな」 「女将が喜ぶぞ。相川も、久枝もお前のファンだからな」 「ファンって、それは僕もだよ」  文字通り精根尽き果てた結人は、マンションに入ると直ぐに風呂の準備をして入る。湯船につかると、過酷な試験からの解放を実感する。  漸く終わった。一週間後の結果、多分大丈夫だとの手ごたえもある。  祥吾の顔が浮かぶ。強引な人だけど、思いやりはある。  今日も送ってくれただけだし、明日も会うのは夕方だ。今晩は泥のように眠って、多分明日起きるのは昼過ぎ。それから夕方までには頭もすっきりしているだろう。  明日は、食事の後……結人にも想像は出来る。それを望む気持ち……あるよね。  結人はふっと、一人で微笑む。  弁当が待っている。結人は湯船から上がった。  翌日、祥吾に連れられて中野へ行くと、大歓迎された。 「まあ、ようこそいらっしゃいませ! 試験終わられたそうで」 「昨日終わりました」 「ええ、ようございました。とても穏やかな表情をされていますから、ほっとなされたんでしょう」 「ああ、昨日とは全然顔が違う。疲れもとれたんだろ」 「うん、昨日は弁当食べてすぐに寝た。それで起きたの昼過ぎだから、さすがに疲れは取れたよ」  結人の言葉に皆が笑顔で頷く。結人の顔には戦い終えた清々しさを感じる。  その後結人は、女将の心尽くしの料理で満腹になるのだった。 「早速だけど明日から引っ越しの準備だ。若い衆応援にやるからさくさく進むだろう」 「うん、そうだけど、なんだか来てもらうの悪いな」 「お前はうちの人間になるんだから当然だ。なんかあればすぐに言ってくれ。お前に不自由な思いはさせない」 「うん、ありがとう」 「合格発表までには本宅に落ち着けるだろうから、合格祝いは本宅で盛大にやる」 「盛大にって落ちたらどうするの」 「落ちんだろう」  まあ。多分大丈夫だろうとは思っているけど、極道の盛大って、文字通り盛大なんだろうと、それに少しの不安を感じる結人だった。  車が、結人のマンションではなく、祥吾のマンションへの方角へ向かっている。  結人も予想はしていた、祥吾を見ると頷かれた。  部屋に入ると、抱き寄せられる。 「ここでお前を抱くのは最後になるかな」  ああそうか、この先は僕も本宅に住むわけだからと結人も思う。そう思うとなんだか感慨深いのも確か。 「まあでも、仕事でお前も一緒にこへ来ることはあるからその時は」 「何言ってるの、仕事中にそういうことはしない」 「お前、やっぱ真面目だな」 「真面目って、それが普通でしょっ」  むくれる結人を祥吾は、抱き寄せ口付ける。こんな時は口を塞ぐの一番。結人は口付けに弱い。  結人が感じるように、優しくじっくりと、甘い口腔内をせめていく。甘さが増し、蜜のような唾液が溢れ出る。  蜜を吸ってやると、結人が涙目で見上げてくる。足の力も抜けたのか縋り付くように、なんと煽情的な瞳。祥吾は身の内が熱くなるのを感じる。  結人を抱き上げ、ベッドへと運び、優しく降ろす。どこまでも姫の扱い。大事な、そして最愛の祥吾の姫。  祥吾は結人のシャツのボタンを一つ一つ外していく。本当はむしり取りたいが、そんなことしたら、多分怖がるだろう。  だが、焦れたように結人が抱きついてきた。 「なんだ」 「焦らして楽しんでる」 「お前、そういうこと言って俺を煽ると知らないぞ」  何が? と言うように結人が微笑む。  妖艶で挑むような微笑みに、祥吾の熱くなった身の内は更に燃え上がる。  性急にシャツを脱がして、下着も脱がすと現れた白い肌にむしゃぶりつく。  結人もそれを待っていたから、祥吾に抱きついて応える。  むしゃぶりついた祥吾だが、結人の官能を高めるように、優しく全身を愛撫していく。  白く乾いた肌がしっとりと色づいてくる。祥吾の体に吸い付くように馴染んでくる。 「ああっ……あんあーっ」  喘ぎも甘く高まってくる。  祥吾はローションを手に取り、結人の可愛い秘所に指を入れる。  久しぶりだから、ゆっくりと解してやらねばならない。焦る気持ちを抑えて、ゆっくりと、ゆっくりと……。 「ああっ、そこっ……ああんっ」  結人の一番感じる場所、祥吾は追い上げるように刺激してやる。 「ああーっ、もうだめっ……だめっ」  結人が顔を振って訴える。祥吾は指を出して、結人の顔を包むようにして口付ける。 「だめっ……入れって」 「指をか?」 「違っ……」  結人が欲しいものは分かっている。もう既に固くそそり立っている祥吾の男。 「俺のこれか? これが欲しいんだろ?」  結人は涙目で見つめる。赤みを帯びた煽情的な瞳。もっと焦らしてやりたいけど、祥吾自身が限界だ。  結人の可愛い蕾に、そそり立ったそれをあてると、待ちわびたように入っていく。  もう結人のそこは、祥吾の形を覚えている。そして祥吾を極上の気持ち良さに導く。 「あっ、あーっ……いいっ……」  結人の奥を刺激するように突くと、結人の反応が甘く激しくなる。結人の一番感じるところ。 「ああんっ、もう……あーっいく、いくっ」 「ああ、いっていいぞ、俺もいくっ」  二人は同時に極みに登る。甘く極上の陶酔感に浸るのだった。

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