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銀の月
少年はカウンターの後ろで、シャカシャカと銀の容器をシェイクした。少年の手の内にあるそれは銀の月。並んだボトルは金の船。白い皿は月夜に浮かぶヨット。
ほんの小さなグラスに、宝石のような液体が浮かぶ。
翠色のエメラルドの海。碧いサファイアの空。沈む夕日は真っ赤なチェリー。
少年の名は待夜駅(まちや えき)。この店の店主だ。童顔だけれど、二十歳だった。硝子に映る影は、ずっと前から二十歳だったように大人びてもいたし、同時に幼くもあった。
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